[協会インタビュー] 関西本部の経営者の レベルアップとは

㈳日本自動車旅行ホテル協会(以下・社団)の関西本部(後に西日本ブロック名となる)長が、この6月、中濱博氏から山本正博氏に代わった。
新旧本部長に、これまでの活動と今後の方針について、さらには業界全般について伺った

協会の役割りとは、何か

湯本 まず、社団・関西本部のこれまでの流れを、お聞かせ下さい。
中濱 その前に、協会全体の組織体について説明しますと、これまでの関西本部は「西日本ブロック」となり、関東本部は「東日本ブロック」という二つにブロック分けされます。その中に各都道府県が支部として入ることになります。正式には、「㈳日本自動車旅行ホテル協会(会長・當麻勝敏)西日本ブロック」ということになるわけですが、協会あるいは関係者の間では、通常、「社団」という言い方をしています。この西日本ブロックというのは、協会本体を形成している、西日本ブロックと東日本ブロックということです。私どもが、協会に現在の形で参画したのは、3年前になります。私が、初代本部長として、正式に加入したわけです。
湯本 それまでは、どのような……。
中濱 それ以前は、同じ協会ですが、㈳日本自動車旅行ホテル協会の大阪支部及び、奈良支部であったわけです。当時は、活動自体も活発とは言い難いものがありましたね。そんな中で、我々若手・二代目の経営者達が、今後の業界を考えた場合、広域な組織が必要という結論に達し、大阪と奈良を合体して、参加したわけです。
湯本 3年前といいますと、「政令改正」前ということになりますか。
中濱 そうですね。関西本部長として、社団に加入してそれほど時間を空かずに、「政令改正」の動きがでてきたわけです。したがって、3年間のうち2年間は「政令改正」の動きに忙殺されましたね。何しろ、協会本部の副会長であり、関西本部の本部長でしたから。
湯本 それで、この1年は……。
中濱 それなりに、組織としての基礎ができたのかなという思いと、こういう非営利団体の長というのは、長くやるべきではない、という考えです。いうなれば、ボランティア活動ですからね。多くの時間と資金も必要になります。しかし、社団に属したお陰で、厚労省や警察庁と接触でき、また、多くの全国の経営者の知人を得たということにおいては、大変勉強になったと感謝しております。この場をお借りして、関係各位にお礼申し上げます。
湯本 それで、この度、本部長(正式にはブロック長、以下同じ)をバトンタッチということになったわけですか。
中濱 そうですね。この春先から、関西本部の本部長は、任期満了で交代ということを考えていました。
湯本 この6月に本部長交代と言うところに、5月13日、「福山ホテル火災」が発生した。
中濱 そうなんですよ。この問題は大きな問題ですね。7人が死亡、3人が重軽傷ですからね。協会本部は翌14日には、会員に向けて会長名で「緊急連絡」を発信しております。
山本 こういう、行政と一体となった活動ができるのも、協会のあるべき姿といえるわけです。

どう、経営者のレベルアップを図るか

湯本 新本部長の山本さんは、業界の多くのオーナーさん同様、二代目とか。
山本 そうです。1967年生まれですから、現在44歳です。前本部長の中濱さんと同世代ということになります。私は、大学を出てから短いですが、4年間ほどサラリーマン生活をしておりました。それから、この業界に入ったわけです。もう19年になります。
湯本 大阪ではレジャーホテル・ラブホテル業の方々は、「加能会」の方が少なくはないのですが……。
山本 そうです。私のところも父親は「加能会」であり、「大阪府ホテル協会」の副理事長をやっております。
湯本 時代的に、年齢的に今、この業界は、いわゆる二代目の経営者の方々が大変多くなっていますが。
山本 やはり、業界の特性ということもあるでしょうね。つまり、我々の年代でホテルを開業するだけの資金力・信用というものがあるかといえば、なかなか難しい問題があります。
湯本 先ほど言われた「加能会」の歴史をみると、初代の苦労もみえませんか。「加能会」というのは、石川県の出身の方々で、多くは銭湯の「お風呂屋さん」か「豆腐屋さん」に、それこそ丁稚奉公をし、財を成してホテル業に進出している。そこに、互助会としての「加能会」があった。
山本 そうですね。私たちの先人・先輩・初代の方々の苦労は、今の我々からでは、想像さえできないでしょう。
湯本 一方、業界の状況も大きく変化している。
中濱 売上、利用者の生態、どれもこれもが、日本の不況に輪を掛けて激変しています。
山本 だからこそ、我々、若手経営者・二代目は、先人・先輩・親に感謝しつつも、変わらなければならないし、変わる必要があるわけです。
中濱 数年前と比べれば、この関西圏では、売上は3分の1。もっと落ちているところは、4分の1でしょうね。
湯本 我々が取材していても、1ルーム1か月当りの売上が、20万、30万円台のホテルが圧倒的に多くなっています。以前の調査では、全国平均が50数万円であったと記憶が……。
山本 ですから、我々経営者は変わらなければダメだといっているわけです。時代が違うのですから。
湯本 何を、どのように。
山本 職業としての確立を目指すべきです。経営者として。よく、従業員と同じレベルの仕事をして満足しているオーナーさんを見かけますが、それも、仕事の一つとして、時には必要でしょうが、それ以上に経営者として、もっともっと学ぶべきもの、勉強しなければならないことが、あるでしょう。
中濱 現在の売上の激減というのは、施設(ホテル)数に対して、利用者数が減少している。需要と供給のバランスが崩れている、ということです。
山本 で、あるからこそ、勉強することが、必要なわけです。会計・経理、経営のためのすべての勉強です。現在、関西では客室料金のダンピング競争が激化しております。これも私たちが経営者としての未熟さが招いた結果ではないでしょうか。そこの仕入は、光熱費は、人件費は。例えば、多くの業界では当然の如く、日々の仕入があるわけです。飲食店においては食材の仕入ですよね。ところが、この業界の多くは、日々の仕入は多くはないわけです。しかし、ホテルという建物は、その建設コストをどう償却しているのか。タダではないでしょう。いうなれば、建設費は仕入を先行していることと変わらないわけです。そのように、まともに考えれば、1組当りの利用料金が1,000円台であるとか、2,000円前後であるということは、考えられないでしょう。「安かろう、悪かろう」では、業界の行く末は知れています。私たちが努力をして、ホテルを利用するという価値を売れるようにならなければならないのです。
中濱 他の業界と比べると、この業界は遅れてきた業界といえると思います。だからこそ、企業としての勉強が必要ということです。
山本 西日本ブロックとしては、会員のすべてが、もっともっと勉強して、より企業人としてのレベルアップを図りたい。そのためのセミナー、勉強会は機会があればどしどしやっていきたいと考えております。そのことが、先人・先輩・親に対する役割りであり、生き残るためのすべてであると思っております。もちろん、他の団体・組織との連携を図り、業界全体のレベルアップを図ることは、いうまでもないことです。

業界人としての責任とは

湯本 先ほど触れました「福山ホテル火災」について、お聞かせください。
中濱 これは、業界にとっては大変な問題です。「7人の死亡、3人の重軽傷」。
湯本 3件の消防法違反、8件の建築基準法違反。行政側も、9年間の検査を放置していた事実も判明している。
中濱 6月時点では、火災の原因が究明されていないのか、経営者の処分は決定してはいませんが、何れ、下されるでしょう。この問題についても、先ほど山本本部長が言うように、業界のレベルアップが必要ということです。
山本 経営者の責任というのは、この火災のみならず、何らかの事故・事件が発生すれば、免れないですよ。口先だけの順法精神だけではなく、企業人としてのマナーも要求されるということです。業界のレベルアップをどうしても図りたいですね。行政とのパイプを保ちながら、より健全な業界にすべく活動していくつもりです。

PROFILE

山本 正博
(やまもと まさひろ)
1967年12月生まれ。㈱エス ユー エス専務取締役。
「ホテル ル・テシイア」3店舗を経営
中濱 博
(なかはま ひろし)
1967年6月生まれ。㈱中央代表取締役。
「ホテル ヴァンヴェールANNEX」など3店舗経営

掲載 LH-NEXT vol.13(2012年7月31日発刊)