女性デザイナーに聞く―女性視点のホテルデザイン/oriharamiki@designoffice 代表 折原美紀

いま求められる「お洒落」なイメージ。華美さより現代的なセンスと居心地の良さを

■いま求められるデザイン
 空間デザインやインテリアは、この2、3年、世界的にナチュラル志向の傾向でした。それがいま、若干、変わり始めてきています。今後の国内景気の動向によっても違ってくると思いますが、今年は、新しい流れが創出される動きに注目すべきですね。デザインの傾向は、大きな流れのなかで、細部は半年程度でどんどん変化していく。その細部の最新傾向を付加することで、「いま風」のイメージが構築されていきます。
 現在の20代、30代の女性にレジャーホテルのイメージをリサーチしたところ、「お洒落でない」という回答が、残念ながらかなり多かったのです。女性はファッションや音楽も含め「お洒落かどうか」に敏感であり、消費の判断基準にもなっています。レジャーホテルも商品ですから、彼女たちのお洒落の感度を上回ることが求められます。では、どのようなイメージがお洒落なのか。リサーチ結果からは「無印良品」や「カフェ」が指摘されました。華美さではなく、現代的なセンスの良さや居心地の良さといえます。
 バブル崩壊後に育った20代、30代の女性は、倹約志向が強い。しかしセンスやデザインに対する感度は高い。料金が安いだけでは評価せず、自分の感性や価値観を満たすことも重視する。そこでは、現代女性の「可愛い」という評価基準の理解が必要です。決してプリティだけではなく、キュートもカッコいいも含まれる。その感性を捉えてはじめて、現在女性の心をくすぐることができると思います。
 そして、もうひとつ重要なことは、時代の変化に対応して、常に「いま風のお洒落さ」を感じさせること。流行の変化の速さを考えると、レジャーホテルも最長でも5年以内にはイメージ変更が必要です。5年経てばお客様のライフスタイルも大きく変わります。もちろん、利益を生むための事業ですから、過度な投資は避けなければならない。そのために、私はいまオンリーワンのデザインができるオリジナルクロスを活用しています。コストを抑え短期間でイメージ変更ができる改装手法が重要だと思います。

■現在女性への訴求力
 ホテルの魅力度は、空間デザインだけでなく設備やソフト・サービス等の総合力で決まります。女性の視点から見れば、まず、手ぶらで行っても身支度・装いに必要なものがすべて揃っていれば、とても嬉しい。また、ベッドには、寝心地のよいマットがほしいし、肌触りがよく見た目に綺麗なリネンもほしい。浴室ではエプロンの高さにも気を配りたい。スキップを付ければ入浴する時のしぐさが綺麗にみえるはず。好きな男性の前では、些細なしぐさも綺麗に見せたい、という女性の心理への気配りを大切にしたいですね。
 ラブニーズの演出については、女性でも趣味嗜好が違うので一概には言えませんが、個人的には、客室内にSM器具などが置かれると、やはりお洒落さが失われると感じます。そのニーズが必要なら、特化したホテル、客室にしたほうがいいと思います。基本は、ハード・ソフト両面から、カップルの距離を近づける、ケンカしていたカップルも仲良くなる、そんな意識でホテルづくりを考えていくことが女性の評価につながっていくと思います。
 また、近年は部分改装が多い。とくに既存の建具や什器を活かそうという場合は、建材の選定を慎重かつ妥協しないで行なわなければなりません。たとえば、ナチュラルなウッドカラーの素材といっても色味も木目も微妙に異なる差材が数多くあります。既存素材と違和感なくマッチする素材を選ばないと、せっかく改装したのに調和のとれない空間になってしまいます。こういったコーディネイト感は、女性の印象を大きく左右します。

(季刊『LH-NEXT』vol.16掲載)