女性デザイナーに聞く―女性視点のホテルデザイン/redesign 代表 オザワリエ

清潔感のある「色気」を五感で訴求し心地良い空気感を演出し顧客拡大を

■いま求められるデザイン
 多くの一般女性は、現在でも、いわゆるラブホテルに対して「派手なデザインの淫靡な空間」といったイメージを抱いており、それがラブホテル利用の抵抗感にもつながっています。私自身、こういったイメージを変えたいと思い「ラブホテルらしくない」と感じさせるデザインを重視してきました。建築的にはシンプルに、こだわりのインテリアで女性が好感を抱く空気感を創出する。インテリアは2、3年で変更し新しさと時代のテイストを持続させる。さらに視覚に加えて聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感に訴えることで女性の感性を捉える。この考え方によるレジャーホテルづくりは、女性に評価されるとともに、従来のホテルとの差別化になり、また、事業として収益を確保できる取組み方ともなりました。私自身は、今後もこの方向で取り組んでいく考えです。
 レジャーホテルを構成する要素は、ハード・ソフトを含め非常に多岐にわたります。それだけに、それらをトータルな視点からまとめ上げて統一感を出すことが必要。ホテルの印象は、外観や内装のデザインだけでなくサインやロゴも、スタッフの応対やルームメイクの仕方も関わって形造られます。
 多くのホテルは、客室内装も運営もサービスも、それぞれ競合店に負けないようにと力を注いでいます。でも、重要なことは、それらがバラバラではなく噛み合っているかどうかです。レジャーホテルは、客室内でより楽しく、より快適に過ごせるように、多様な機能や要素を詰め込んできたといえます。しかし、それが心地良さを阻害する要因にもなっている。例えば、素敵なデザインの洗面スペースに、いま流行りの各種アメニティ類をズラリと並べ置く。これでは女性は心地良い空気感を感じません。女性にとって心地良い空気感とは何か。女性目線で考えると言っても、業界の既成概念のなかでの女性目線ではなく、一般消費者の女性目線で見直すことが必要です。

■現在女性への訴求力
 レジャーホテルには、非日常空間が求められます。しかし、従来のような、華美で煌びやかな空間デザインや各種の設備を備えるという非日常性を、女性は望んでいないと思うのです。それよりも、自宅にはない五感に訴える空気感、それが心地良い非日常感として心に響くと思っています。
 そのためには、女性への訴求力のありそうな設備・機器の導入に力を注ぐよりも、もっと細部へのこだわりが必要です。例えば、照明の照度、香りの演出の匂いの種類と強さ、BGMの種類と音量……これらは、少し変わっただけでも、空気感が大きく変わります。また、ファブリックやリネンは素材感やオリジナリティにこだわる、照明器具もオリジナルの和紙を使った間接照明で光の質感にこだわる……それらが、自宅にはない洗練された心地良い空気感を醸し出します。
 カップルが利用するホテルとして、「色気」も必要です。しかし、女性にとっては、あからさまにセックスを連想させる演出ではなく、「清潔感のある色気」の提供が大事です。そして、五感に訴える心地良い空気感こそが「色気」を感じさせることになるのです。この素敵な空間で男性と一緒の時間を過ごしたい……そう思う空間が、女性の気持ちを心地良く高ぶらせることにつながると思っています。
 いま、レジャーホテルの利用者減少が指摘されています。不況や人口減少、セックスレス化も影響していると思います。それだけに、今後、従来からのお客様以外の新規顧客を取り込むことが求められます。レジャーホテルの初心者や抵抗感を抱いている消費者の利用を促すためにも、従来のイメージを払拭する女性に訴求力のあるホテルづくりが求められると思っています。

(季刊『LH-NEXT』vol.16掲載)