新業態<ビジ・ラブ>へのチャレンジ/設計者インタビュー ㈱ユニックス 代表取締役 近藤俊大

将来に向けて大きな可能性のある業態。規模・対面接客・OTA集客が成功のカギ
㈱ユニックス 代表取締役 近藤俊大

 レジャー・ラブホテルの設計デザインに多くの実績を有する㈱ユニックス代表取締役・近藤俊大氏。数年前から将来に向けたラブホテルという業態の進化の1つの方向として“ビジ・ラ
ブ”を提案してきた。“ビジ・ラブ”成立のポイントを伺った。

――“ビジ・ラブ”という発想は。
近藤 まず、対面フロントの新法ホテルの集客力を今後どのように確保するかということ。そして、ビジネスホテルが稼動も単価も上昇するなか、レジャー・ラブホテルは宿泊利用の減少、単価の低下が進んでいる……。ラブホテルの客室自体はビジネスホテルよりも確実に魅力的。これにビジネスホテルの集客手法を加え、ビジネスとラブの融合形態ができれば、ビジネスホテルよりも高収益、ラブホテルよりも安定した集客・売上が可能になるわけです。さらに、ビジネスホテルの開発・改装であれば、低金利・長期返済の融資も可能になる。立地は都市に限定されますが、将来に向けて大きな可能性のある業態だと考えています。

――“ビジ・ラブ”成立のポイントは。
近藤 ビジネスホテルとしての稼動にはOTAでの予約集客が不可欠。連泊や早い時間のチェックインもある。となれば、60室以上の規模で、半数の客室でビジネスホテルの稼動、残りの客室でウォークイン対応の回転稼動という状態が望ましい。ただ、既存のラブホテルはそこまでの規模がなく、新築となると投資額が大きく資金調達が難しいという現状があります。

――既存のラブホテルから業態転換するポイントは。
近藤 客室自体は面積も設備も一般客に対しても訴求力は高い。ただ、プライバシーを確保したいカップル客と一般客が混在することになるので、動線の工夫は必要です。問題は、20~30室の規模で、予約稼動に回転稼動を組み込みフル稼動させるにはオペレーションがかなり難しくなること。さらに、対面接客のノウハウも必要。現在、観光客やビジネス客の取り込みを図るラブホテルも増えてきています。しかし思うように集客できないケースが多い。これは、イメージの問題だけではなく、対面する接客サービスのノウハウを有していないことも大きい。現在の各種サービス業種は専門のコンサルタントを入れるなど接客教育にコストをかけて取り組んでいます。しかし、この業界は対面しないことがサービスとされてきた。非対面のサービスのノウハウはあっても、対面サービスに関しては大きく遅れてしまっています。対面接客できる人材確保には、労働条件も含め雇用に関する経営者の意識変革が必要だといえます。
 もう1つ、OTAからの予約集客のノウハウも必要。集客と単価確保に関わる宿泊料金の日々の変動、ウォークイン客の当日料金との価格差を納得させる手法も必要。また、ネットで選ばれるためには魅力的な写真の掲載が不可欠。OTAからの集客を考えるには、まず、経営者が出張や旅行の際にOTAを使って自分でホテルを探し予約してみることです。選択されるために何が必要になるのか、そのポイントが実感できるはずです。

――ハードルは高いといえますが、将来に向けた可能性は大きい。
近藤 現在、この業界では、築年数が経過し耐震補強等も含めた大規模改装に迫られる建物が増えています。ラブホテルとしてそのための融資を受けることができるのかどうか。その際に“ビジ・ラブ”という業態は、新たな選択肢になるともいえます。また、都市部でのビジネスホテルの開発ラッシュは現在も続いています。将来の供給過剰も危惧されますが、客室内容に優位性がある“ビジ・ラブ”なら高い競争力が持続できることになります。ただし、エリアによっては、今後もさらにビジネスホテル開発が計画されています。商圏内の宿泊施設の開発動向を見極めなければなりません。

掲載:「LH-NEXT」vol.32(2017年4月30日発刊)