新業態<ビジ・ラブ>へのチャレンジ/プランタンホテルグループ 代表取締役 森藤紳介

スイーツビュッフェで若い女性層に訴求。4号営業で女性旅行客の獲得も目指す

 福岡県下で6店舗を展開するプランタンホテルグループは2016年12月23日、「HOTEL&SWEETS FUKUOKA」を改装オープン。4号営業で一般旅行客の獲得も目指すホテルだ。「若い女性層のラブホテルへのネガティブイメージを覆し、女性旅行客も抵抗なく利用できるラブホテルを目指す」と語る同グループ代表取締役・森藤紳介氏に、その考え方と改装の内容を伺った。

若い女性層のイメージを覆すホテルづくりが急務

――スイーツビュッフェを打ち出した従来にない4号ホテル。その発想とは。
森藤 近年の利用者減少の要因として、若年層の人口減少やセックスレス化が指摘されていますが、もう1つ、若い女性のラブホテル離れが大きいと思うのです。“いかがわしくて不潔そう”というネガティブなイメージを抱き、デートの行き先の選択肢からラブホテルは除外されている……。若い女性たちがこのイメージのままで中高年になっていけば利用者減少は加速していくことになります。将来にわたりラブホテル事業を継続していくには、このネガティブイメージの払拭が急務です。
 若い女性たちに、実際に最新ホテルのお洒落な客室や露天風呂等々の写真を見せると「え~、ラブホってこんなに素敵なの。ぜひ行きたい」と。でも、1人1人にプロモーションしていくことは現実的に不可能。いま、若い女性層の興味を惹くインパクトのあるホテルが求められると思うのです。もちろんラブホテルにエロさの魅力を求めるお客様も存在します。ラブホテルというのは、お洒落で若い女性が楽しく過ごせるホテルもあれば、エロさの欲求を満たすホテルもある、さまざまな楽しさを味わえる個性的なホテル、というイメージに変えていきたい。このような思いを背景に、今回は、若い女性の感性や価値観を捉え、カップル客も旅行客も利用できるホテルづくりにチャレンジしたいと考えたのです。

――具体的な改装内容は。
森藤 ホテルは4号のビル型2階建・25室で2015年に取得。改装前の売上は1室25万~30万円。女性旅行客の獲得を考えると、4号を外すべきか否かは迷いました。ただ、既存の客室精算機等を活用したいということに加えて、若い女性旅行客も利用できるラブホテルにチャレンジしたいという前提でしたので4号での改装を決断。
 改装費は約1.5億円。外装は白を基調に塗装とサインを変更、ファサードとフロント・ロビーを全面変更。客室は、窓を開放し外光を採入れ明るくお洒落な雰囲気に。客室内では直接的に目に見えるラブ要素を排除し、VODのトップ画面もアダルトは右下に小さく表示。貸出コスプレも女性視点で可愛らしい衣装をラインナップしました。
 設備・サービスはラブホテル、イメージはデザイナーズホテルです。その他、豊富なアメニティはもちろん最新美容グッズの無料貸出、水素水の無料提供、寝具はアレルギー性物質を含まない素材、環境型除菌洗浄剤の使用等々、若い女性に訴求力のある“美・清潔・安全・安心”に関わる要素を重視し、HPでもイメージ写真を付けて告知・アピールしています。

ラブホテルの範疇を超えた新しいラブホテルを目指す

――スイーツビュッフェの内容は。
森藤 フロント横に、ショーケース設置のスペースを設け、シェフ手作りのスイーツを常時10種類程度揃えています。背後にはガラス窓を設けオープンキッチンでスイーツをつくる様子も見えます。無料の食べ放題なので、滞在中に客室を出てスイーツを取りに行けるようにカードキーで外出自由としました。そのため、チェックインは、客室選別機で客室を選び、フロントでカードキーを受け取り客室へ。料金は客室内精算機で前払いしカードキーで外出自由。チェックアウトは、飲食オーダー等の追加料金を精算機で支払い退室、という流れになります。

――利用者の反応は。
森藤 スイーツは好評です。多種類を楽しんでいただくため小さなサイズで、食材原価は1個20~30円。1組当たり10個程度の想定でしたが、これまで最大で50個を食べられたお客様も。料理長は「評価されて嬉しいけどコストが……」と複雑な表情でしたが、確実に評価されセールスポイントになる要素であると確信できました。

――内部調理となると、スタッフ体制や人件費は。
森藤 メイク係とフロント係のほかに、キッチン専任が昼と夜に各1人の体制です。人件費率は他ホテルより高く30%台になりますが、このホテルの集客力のために必要なコストと考えています。

――売上の目標は。
森藤 客単価8,000円前後で2回転、1室1か月50万円が目標。平日の休憩回転はあまり見込めない立地なので宿泊の稼動と単価が重要。2月下旬から予約を開始し、現在6室限定販売ですが、予約受入れに慣れてくるに従い増加したいと思っています。4号営業でありOTA各社のサイトは利用できず自社HPからのネット予約ながら、早くも3月の週末や連休時には6室完売も見られました。すでに何組かは若い女性2人組の旅行客です。この層の利用を拡大したい。そのためには4号の広告宣伝規制のなかで、いかに告知・アピールできるかがカギを握ると考えています。HP上では「スイーツビュッフェ付きレディースプラン」を打ち出し、ラブホテルでは当たり前ですが「駐車場無料」「2名様1室の料金」といったことも明確に告知し、ビジネスや観光旅行での利用促進を図っています。
 また、客室選別機やインフォメーションに客室料金を表記しているため、予約料金の変動は難しいと考え、現状ではウォークイン料金と同一料金です。予約の価格変動は集客と単価に関わる要素でもあり今後の課題です。

――今後の取組みの方向は。
森藤 フロント・ロビーのオープンな雰囲気を嫌がり他のホテルに移る常連のお客様もいると思います。しかし、女性旅行客の利用が得られることは大きい。近年は、大規模改装をしてもエリアの上限の売上を超えることは難しい状況ですが、このホテルにはそれを超える可能性があると感じています。さらにもう1つ、スタッフのモチベーション向上の効果も大きいといえます。スイーツの新メニュー案やネット予約の各種プラン案など、さまざまなアイディアを自ら考え提案してくるようになりました。従来のラブホテルという既成概念を超えたホテルづくり・運営を進めることで、内部スタッフの変革もはじまっています。これは、今後の他店舗の運営や当社グループの事業展開に、大きなプラス要素になると思っています。

[HOTEL & SWEETS FUKUOKA・概要]
所在地:福岡市博多区金の隈3-11-24
オープン:2016年12月23日
規模:地上2階建・25室
設計監理:荒木治郎建築設計事務所
URL http://www.p-hotels.jp/H&S/

掲載:「LH-NEXT」vol.32(2017年4月30日発刊)