[予約サイトの現状と方向]㈱KUSABI 代表取締役 井上裕史

[Buona notte]
・・・ラブホテル特性を捉えた「当日予約」で開始、 「休憩予約」「事前予約」と機能を拡充

 昨年5月に㈱KUSABIがサービスを開始した「Buona note」(ボナ・ノッテ)。レジャー・ラブホテル利用の特性を捉えた当日予約システムとしてスタートし、以降、利用者やホテル側の要望を採り入れ、昨年10月に「休憩予約」、今年9月には「事前予約」をスタートさせるなど、より幅広いニーズに対応する機能の拡充が図られている。同システムの概要・特徴・利用の現状、今後の方向などを同社代表取締役・井上裕史氏に伺った。

システムの概要

 まず、「Buona notte」の基本的な概要を整理しておこう。
●初期設備・費用
「Buona notte」(ボナ・ノッテ)を開始するには、初期掲載料として1店舗3万円(税別)が必要。インターネット環境があれば、サービス開始のための初期設備・費用は不要。
●予約方法等
・予約方法=当日予約と事前予約(9月から開始。最大2か月前から受付け)。宿泊予約だけではなく休憩予約にも対応。
・決済方法=予約時にクレジットカード決済。事前決済なのでキャンセルによる料金未徴収のリスクがない。事前予約のキャンセルに関しては、当日はキャンセル料100%、前日は50%、それ以前はキャンセル料を徴収しない。
・販売方法=予約販売に登録できる客室価格は1パターン。利用者の客室指定ではなく、例えば、価格1万円・在庫数2室と設定して、そのランクおよび周辺ランクの客室を販売する。
・予約確認方法=指定のアドレスにメール通知。同時に電話(自動音声)通知も行なう。
●ランニングコスト
 固定の月額料金は不要。成果報酬で成立した予約に関して手数料(予約金額の8%)とクレジットカード手数料(予約金額の5%)がかかる。
 料金の流れは、利用者→クレジット会社→KUSABI→ホテル。ホテルへは手数料を差引いた利用料金が月末締め・翌々月10日払いで支払われる。

運営現場を重視した手軽に使えるシステム

 ㈱KUSABIという会社は、一昨年末に「Buona notte」の開発・運営を目的に、リクルートやLINE、Amazon等で各種ネットサービスシステムの開発・運営に携わってきたメンバーが集まって設立した企業だ。代表取締役・井上裕史氏は「目的のラブホテルを訪れたら満室。気分が盛り上がっているなか他のホテルを探さなければならない。予約ができれば便利なのに……。という利用者視点がスタートのきっかけです」という。
 ただ、レジャー・ラブホテルという宿泊業態の特性はシティ・ビジネスホテルとは異なる。利用者の特性としては、出張や旅行と違い、利用したいと思ったときに即座に予約できることが必要。そこで、①スマホによる当日予約、②GPSで現在地から近いホテルから表示、③クレジットカード情報を登録していれば最短5秒で予約が可能、という、手軽で簡単な予約操作を重視してシステムを開発。
 一方、ホテル側の特性としては、回転稼動のなかで予約を組み込む必要があり、ネットに不慣れなフロント担当者も多い。このような事情を考慮し、当日の在庫(空室)を手軽に販売(予約販売中でも、利用者が来店して満室になれば即座に販売停止、利用者が退室して空室ができれば即座に販売開始)できるように、稼動状況に応じたリアルタイム対応を重視したシステムとした。「管理画面の操作は、価格と在庫数の設定だけ。ネットに不慣れな担当者でも3秒で販売開始・停止ができます。この簡単操作はホテルから好評です」(井上氏)という。
 スマホ向けレジャー・ラブホテル専門の当日予約、しかもクレジット事前決済という従来になかった予約システムながら、前述のレジャー・ラブホテルの特性を捉えた使い勝手が評価され、掲載ホテルも順調に増加し、9月末時点で1都2府30県・240店舗にのぼっている。
 予約実績について井上氏は「予約件数も順調に増加傾向を示しています。1ホテルで1か月65件の予約獲得の実績を示した例もありますが、現状ではまだ地域や店舗によって利用状況には差があります」という。一方、利用単価をみると、平均単価が休憩で約5,800円、宿泊で12,800円となっている。「客室を確保できるメリットと予約特典の付加で、通常よりも高めの料金設定が可能です。ホテルからは単価アップにも貢献していると評価されています」(井上氏)という。また、宿泊予約のリピート利用率が約30%、休憩予約では50%を超えている。井上氏は「予約により新規客を獲得しリピーター化するというメリットが現われはじめてきた状況を示すデータ」と分析している。

ネットサービスのノウハウを活かし機能の進化・拡充に対応

「Buona notte」のもう1つの大きな特徴として、利用者やホテル側の要望への対応力があげられる。これまでの主な機能の進化・拡充をみると、トップ画面に「予約限定特典付き」「特別割引き」等の表示付加、料金や在庫数を事前に設定できる「カレンダー機能」の追加、「休憩予約」の開始、各ホテルHPへのリンク、そして「事前予約」の開始。細部も含めてホテルや利用者の要望に応じたシステムの進化が続いている。この背景には、自社開発・運営のシステムであること、さらに各種ネットサービスを経験してきた開発・運営担当者のネットサービスに関するノウハウが活かされているといえる。
 また、利用者拡大・利用促進に関しても、プッシュ機能による効果的な情報の発信に加え、エリア限定等の割引キャンペーン(同社が費用を負担)など直接的な販促も行なわれている。さらに今年10月には、㈱ワールド・ホテル・コミュニケーションズと業務提携。10月に開設された同社の新しい検索サイト「STAY LOVELY」も活用した利用者拡大・利用促進を進めていきたいとしている。今後の、利用ニーズ拡大や誘客力向上への取組みも注目されるところだ。

掲載:LH-NEXT vol.30(2016年10月31日発刊)