[インバウンド獲得の現状]㈱ワールドトラベル 代表取締役 松原智哉

ますます増加する訪日客
――訪日外客数の増加に伴い、宿泊施設不足が発生。それを補う上から、“民泊”論もあるが、「レジャー・ラブホテル」から、「インバウンドホテル」への転用も注目されています。そこで、松原社長には、旅行業者の現場から、最新の動向をお聞かせいただければと思います。
松原 私が、今日の状況を予測したのは、10年ほど前からです。予測というよりも、ある旅行業界の勉強会で、ある大学の教授が、さまざまな資料を分析のうえ、2015年には、中国人の訪日客数は、600万人になるとしたわけです。そのことは、鮮明に記憶しております。

――正確には、2015年は499.7万人で600万人にはなっていない……。
松原 そうですね。しかし、今年は、月々49万人超え、ほぼ600万人は視野に入っている、といえるわけです。

――御社、㈱ワールドトラベルさんのこれまでの流れは……。
松原 そもそも、私どもは、インバウンドではなく、アウトバウンドの旅行業者として、日本人の海外旅行のお手伝いを業務としていたわけです。その関係で、中国・韓国・台湾・香港・東南アジアの旅行会社との関係は構築されていました。その後、準備には多くの時間を必要としましたが、一昨年あたりから、インバウンド活動を本格化させたわけです。

――それで、今日では「レジャー・ラブホテル」から業態変革した「インバウンドホテル」まで所有している。さらに、それらのホテルを拡大しようとされている。昨年のインバウンドの実績は?
松原 インバウンドにも、2種類ありますよね。1つは、個人客であり、もう一方は、団体客です。そして、国・地域別です。私どもは、団体客のツアーが対象であり、中国からのお客さまが全体の80%を占めております。昨年、自社直営ホテルは、ほとんどありませんでした。よって、他社さんのホテルを手配させていただいたわけですが、数は約15万人になります。現在、関西地区、中部地区、首都圏では、
直営243ルーム、インバウンドの部分の販売が弊社専売430ルームのインバウンドホテルを確保しております。すべての稼働率は90数パーセントとなっております。したがって、昨年以上の数字となるでしょう。

――中国からの訪日客は、今後も伸びるということですか?
松原 伸びます。2010年には141.2万人であったものが、2016年、今年は、600万人を伺っているわけですから。もちろん、2011年の「東日本大震災」或いは今年4月の「熊本震災」のような天災。フランス・パリに見られるような“テロ”など、人災的問題はありますが、2011年の翌年の状況をみてわかるように、一時的な減少はあるものの回復力も十分にあるといえます。

求める部屋数は、500室
――「レジャー・ラブホテル」を「インバウンドホテル」にする場合の必要条件とは、何ですか。
松原 これは、いうまでもなく、それぞれの旅行会社によって異なると思います。弊社の場合は、まず立地です。中国からの訪日客が80%ということは、いわゆる“ゴールデンルート(東京から大阪、または逆ルート)”から、大きく外れた立地ではどうすることもできません。ゴールデンルートには、4つの代表的な国際空港があります。すなわち、関空(関西国際空港)・名古屋(中部国際空港)・静岡(富士山静岡空港)そして、成田です。

――これらの空港から、バス移動で1時間以内が宿泊施設として適当ということになりますか。
松原 そういうことです。バスドライバーの場合、日本の勤務時間には大きな規制が発生します。したがって、ルートから外れたり、慢性的な渋滞は、移動の障害になるということです。ただし、ルート移動のツアーばかりではなく、一定地域を周遊するツアーもあるわけです。立地の次に必要な条件は、規模、すなわちルーム数です。少なくとも、20ルーム以上は欲しいですね。

――その拠点周辺に「インバウンドホテル」を求めているということですか。
松原 一拠点に500ルームは必要と思っています。

――500ルームということは、「レジャー・ラブホテル」が20~25店舗ほどになりますが……。
松原 そうですね。そのくらい確保していれば、これからのインバウンド客に十分に対応できるものと考えております。

――問題は、ラブをインバウンドにして、収益はどうかということです。
松原 ラブで、月・ルーム20万円前後なら、インバウンドに変えた方が、はるかに経費率が下がり、収益は上がることになるでしょう。経費率の中の多くを占める、光熱費・人件費は、大幅にダウンすることになります。

――しかし、一地域で20も25店舗も、ラブをインバウンドにするということは……。
松原 その情報を、テイダンさんに求めたいわけです。「インバウンドホテル」にすれば、「レジャー・ラブホテル」は再生することも、可能になるわけですから。

――どのような物件がインバウンドに向いているのでしょうか。
松原 非常に良い質問ですね。先週、ある売り物件を見てきました。1億円以上の投資をし、インバウンド用に改装しましたが、ぜんぜん使われていない状態です。向いている物件と向いていない物件がありますので、方針転換はくれぐれも慎重に!! では、誰と相談すればいいのかというと、今までのビジネスホテルの日本人のお客様とも違う特殊なところがあるので、ホテルの専門家もよく分からないのが現実です。恐らく弊社の経験がお役に立つかと思います。
(文責・湯本隆信)
掲載:LH-NEXT vol.29(2016年7月31日発刊)