[【業態変革】インバウンドホテルへ]

 ラブホテルからインバウンドホテルへの変更がテレビ等でも報道された「HOTEL Havana」(愛知・稲沢市)。同ホテルを2009年に取得し業態変革した㈱サンク代表取締役・髙野晃二氏に、その経緯と利用の実態を伺った。

低単価の回転稼動より低経費の団体集客を選択

――インバウンドホテルへの変更の経緯からお聞かせください。
髙野 「HOTEL Havana」を取得したのが2009年です。当初は1室1か月売上が40万~50万円あったのですが、リーマンショック後の消費低迷、政令改正問題、東日本大震災と、大きな逆風が重なり、売上が低下。一宮IC周辺の集積地全体の利用者が減少しているなかで、複数の店舗が売買に伴い改装。このような市場環境では、追加投資をしても回収できるだけの売上回復は難しい状況でした。一方で、インバウンド増加による宿泊施設不足が報道されはじめた。そこで、2014年の秋頃から、中国の旅行会社を通じて、中国人団体旅行客の受け入れを始めたのです。当初は、愛知の一宮といっても知名度もなく利用はわずか。その後、中部国際空港へのLCC便が増加し、一宮ICは空港から40分、大阪、東京、北陸方面にも行きやすく、1か月の受け入れが20団体ほどに増加しました。
 スタート時は、一般のラブホテルとしての営業と“二足のわらじ”。団体客のチェックインが20~21時、チェックアウトが7~8時。ロビーに団体客が大勢いる時間帯に訪れた一般客は、当然ながら帰ってしまいます。一般客は減少しましたが、デリヘルの受け皿として低単価で回転させても経費を考えると収益は出ませんから、インバウンド主体でいこうと判断。しかし、2015年の夏、中国で株価が暴落し、直後は利用が激減しました。ホテル側で安定して団体客を集客するのは難しいと考え、昨年の11月、旅行会社にホテル自体を賃貸することにしたのです。現在は、30室を36室に増室し、毎日ほぼ2団体が入る状況となっています。

――インバウンド向けに変更したのは。
髙野 ベッドがシングル2台を合わせダブルのマットを重ねるタイプだったので、インバウンド利用時には、シングル2台に、一般利用時にはダブルに戻してと、使い分けていました。また、インバウンド利用時には、アダルト放送を停止。電気錠を開放し、内扉に取付けた鍵を使用。ハード面で大きな変更はしておりません。また、団体客には日本語が話せるガイドが付いているので言葉の問題はありません。

――現在、同じ一宮の「HOTEL P・S」もインバウンドホテルに変更。
髙野 4年前から休業状態だったホテルを日本の旅行会社が取得し、中国人団体客向けに今年4月12日に再スタートしました。その立ち上げに、私がコンサル兼運営責任者として関わっています。この旅行会社は、他にも2軒のラブホテルと1軒のビジネスホテルを中国人団体客向けホテルとして運用。いま、中国人団体客向けのホテルを探している旅行会社も多いようです。

――インバウンド対応のポイントは。
髙野 中国人団体客専用にすると、人件費は約半分。光熱費やリネン・備品費も大幅に減少します。ポイントは安定した集客の確保です。また料金も旅行会社によって異なります。ホテル側の利益は小さくなりますが、ホテル自体を旅行会社に賃貸してしまうのも1つの方法だと思います。
 現在は、低料金の団体客需要ですが、今後は、人間ドックやゴルフなど富裕層向けのツアーや個人旅行客も増加すると思われます。客室や浴室も広く設備も充実しているラブホテルは、アジア圏・欧米圏問わず旅行客への訴求力は大きいはずです。利用人口が減少している現状を考えると、回転させて収益を上げる発想を切り替えて、インバウンド客の獲得を考えることも必要だと思います。

インタビュー:(株)サンク 代表取締役 髙野晃二
『LH-NEXT』 vol.28(2016年4月30日発刊)掲載