[奮闘する単独店舗]「HOTEL STELLATE」/㈲共栄 代表取締役 大谷哲鎬 (おおたに・てつたか)

単独店の強み、決断と実行のスピードで独自性を強化しブランド力の構築を目指す

 「HOTEL STELLATE」は、新宿・歌舞伎町のホテル集積地に2000年に全面改装でオープンした20室のホテル。次の10年を見据えたブランド力の構築を目指して2014年に再度の全面改装を実施した。その背景と考え方を15年前からホテル事業に携わる大谷哲鎬氏に聞いた。

■近年の状況 
 新宿・歌舞伎町は有数の歓楽街ですが、「HOTEL STELLATE」が全面改装オープンした2000年以降の10年間でレジャー・ラブホテルは約300室が増加。さらに2003年からいわゆる“歌舞伎町浄化作戦”が始まり、飲食店・風俗店が減少し歌舞伎町を訪れる人の数も減少。供給過剰のなかで価格競争が進み、利用時間の長時間化から従来のような高稼動も難しくなった。さらに不況の進行、風営法政令改正、東日本大震災と逆風環境が続き、客室数の限られた単独店としては、客単価を確保しながら利用を促す利用システム等の工夫も施しましたが、売上は低下傾向を余儀なくされました。そのうえ2、3年前からビジネスホテルの新規オープンも相次ぎ1,500室以上が増加。このような環境下で、今後10年の収益力を考え、昨年、全面改装に着手。改装前には1室1か月60万円台だった売上が、改装後は順調に増加し、現在は、改装前比50%前後の増加で推移しています。

■経営・運営の注力ポイント 
 歌舞伎町エリアは、レジャー・ラブホテルの改装も多い。たんに新しくキレイになったというだけではすぐに埋没してしまいます。スケールメリットや資金力のある多店舗展開企業のホテルも数多いなかで、投資額を抑えながら客単価向上につながる改装を施すためには独自性が求められます。
 そこで、周辺ホテルとは異なるデザインテイストとするために、ホテルではなく商業施設を中心に手掛けてきた設計事務所を選択。同時に、周辺の高単価ホテルのような、広い客室面積、露天風呂の設置、高級建材の使用等が難しいなかで、いかに価値を高めるかを考慮し、高単価アメニティの採用、インフォメーション・VOD初期画面・HP・メニューのデザイン、スタッフのユニフォーム等々の周辺ツールのコンセプトの統一を図り、総合的に高級感の創出につながるようなブランド力の構築を目指しました。 
 改装工事は、単独店ゆえに従業員の継続雇用等も考慮し、営業しながらフロアごとの工事で臨みました。工期は約6か月。しかし、工事が3か月を超えると集客への影響が予測以上に大きくなった。営業しながらの改装では工期の短縮が重要と痛感しました。
 日々の運営においては、やはり人材確保がポイントです。歌舞伎町エリアは、清掃スタッフは外国人が中心。言葉や文化の違いもあり、細部まで丁寧な清掃を実施していくには、中心的なスタッフの指導力が重要になります。今後、マイナンバー制の影響も含め、主要スタッフを確保するためにも、就労条件や環境の向上が必要。人件費の向上はやむを得ないと思っています。
 集客面では、ネット予約を重視。当日予約を「notte」で、事前予約を「ハピホテ予約」で対応。予約実施の目的は単価アップです。レジャー・ラブホテルの予約利用は一般化していないだけに、現状では予約で客室を確保できるメリットから単価アップが可能です。
ネット予約は誘客と単価アップの両面から今後さらに活用していきたいと思っています。
 スケールメリットや資金力のある多店舗展開企業のホテルと同じ土俵で戦うのは厳しい。単独店の強みは、経営者の決断と実行のスピードだと思っています。その強みで、お客様に選んでもらえるホテルとなる独自性を打ち出し続ける。この方向で今後の運営に取り組んでいきます。同時に、2号店の取得や運営受託等による事業拡大も視野に入れて事業に臨んでいきます。

《掲載LH-NEXT vol.26(2015年10月31日発刊)》