[奮闘する単独店舗]「RESTAURANT HOTEL銀の塔」/㈱トップス 代表取締役 小関 乃

小規模投資を断続的に実施して情報発信、飲食を武器に集客と単価アップを進める

 「RESTAURANT HOTEL銀の塔」は、神奈川県伊勢原市郊外のホテル集積地に35年前にオープンした18室のホテル。15年前に全面改装を施し、2年前には名称に「RESTAURANT」を付加。ホテル歴10年の3代目・小関乃氏にホテルづくり・運営における注力点を聞いた。

■近年の状況 
 私がホテル事業に携わり始めた頃から市場環境の悪化が進み、売上も年々低下傾向が続きました。とくに2011年の東日本大震災直後は、ホテル事業を継続できるのかという不安も。しかし、当社にとって唯一の事業であり廃業するわけにはいかない。同年の後半から全面LED化に取組み経費を削減しながら“エコ”をアピール。以後、タブレット・VODの導入、外周塀の塗装や客室のリフレッシュなど小規模投資を断続的に行ない、特徴ともなっている飲食サービスをよりアピールすべく名称を「RESTAURANT HOTEL」に変更、等々の取組みを行なってきました。
 売上は全面改装後のピーク時に比べると3〜4割減の状況ですが、低下傾向は2、3年前に底を打ち、以後はほぼ横ばいで、現在は客単価7,000円弱、2.5回転前後で推移しています。

■経営・運営の注力ポイント 
 当社ホテルは関東圏といえども、地方都市の郊外立地。高回転も高単価も難しいエリアです。そのなかで売上をつくるには、客室内での付帯売上が求められる。飲食充実の方向性は立地環境から必然的に生まれたといえます。現在のメニューは150品目以上、飲食売上はポイント還元分等を含めると月100万円超。平日の宿泊は、客室料金が6,480〜7,884円ながら客単価は約1万円。飲食が大きく貢献しています。ちなみに450gのトンテキがヒットしましたが、この地域は、いわゆる“ガッツリ”系メニューが人気です。
 ただし、18室規模のホテルでの飲食の充実は、訴求力と手間とコストのバランスが難しく、試行錯誤の連続でした。新作メニューを定期的に開発しイベントメニューとして提供、好評を得たものをグランドメニューに取込む。厨房機器も換気扇も含めて業務用に変更。タブレット・VODの導入もアミューズメント要素の強化に加え、飲食オーダー増加に対してフロントの負担軽減を図る意味が大きかった。現在は、調理担当者を配し、その人件費を賄えるだけの飲食売上がありますが、そこに至るまでには時間がかかりました。
 もうひとつ、力を注いできたのがネットによる情報発信です。ホテルに携わり始めた直後からブログやツイッターを開始し、その後はフェイスブックも活用。1人でも多くの潜在顧客にホテルの存在と魅力を知ってもらうことが目的です。同時に、レジャー・ラブホテルは、プライバシーの確保を基本としていることから、逆にお客様にとってはどのような人がどのように運営しているのかが見えない。その不安感は大きく、利用者開拓の障害になっていると思い、メニュー開発の過程や改装工事の模様など内部の様子も発信しました。ただ、頻繁な情報発信の継続は負担が大きい。現在は、新しいイベントメニューや客室内のリフレッシュの告知などに絞込んでいます。
 単独店舗が抱える課題は、やはり人材の確保です。昨年は人手不足に陥り、私自身も深夜帯のシフトに入らざるを得ない状況もありました。単独店舗におけるスタッフの定着やモチベーションは、経営者の“器”がカギを握ると思っています。私自身、スタッフとのコミュニケーションは図れていると思っていましたが、まだまだ未熟です。今後、経営者としてホテル事業で収益をあげていくことが最優先事項ながら、同時に人を育てることのできる経営者を目指したい。郊外立地の小規模店舗では、募集も難しい。そのなかで顧客満足を高める手間のかかる運営をしていくためにも、重要なポイントだと思っています。

《掲載LH-NEXT vol.26(2015年10月31日発刊)》