宿泊稼動を再考する〜(株)Re・Stay 代表取締役 宮原 眞

 宿泊稼動の低下が続くなか、全国に43店舗を展開する(株)Re・Stayは、宿泊強化=単価重視の方向を定め、割安感も訴求できる飲食セットの「お泊りパック」を2012年に打ち出し、この数年、着実に宿泊組数を増加させている。同社代表取締役・宮原眞氏に、宿泊稼動の状況と宿泊強化の取組みを聞いた。

高稼動が困難な時代、単価アップの施策を進める

――近年の宿泊稼動の状況は。
宮原 宿泊稼動が明らかな低下を示すようになったのは、2008年のリーマンショック以降。景気の減速が明確に利用状況の数字に現れました。単価の高い利用から低い利用へ。つまり宿泊から休憩へ、さらにショートタイムへと利用者が移っていった。組数を維持できても高単価の宿泊が減少すれば、売上・収益は低下してしまう。さらに、利用者数自体が減少傾向にあり、以前のような3回転のビジネスモデルは成立しなくなり2.5回転で収益を確保しなければならない。このような市場環境下では、高稼動よりも単価の確保が重要となる。そこで、宿泊利用の強化を図ろうとの経営判断に至りました。
 通常の宿泊料金プラス1,000 ~ 3,000円で、プラス料金以上の飲食等を提供し、お客様がお得感を感じながら、集客・単価アップにつながる「お泊りパック」を2012年から全店舗で実施したのです。
 同年はその効果もあり、宿泊組数は前年比7%増の結果となりました。以降、宿泊組数は前年比微増を続けています。昨年も全店舗で総利用組数は98%ながら、宿泊組数は微増し、平均単価も約100円の増加という状況でした。今年に入ってからも、同様の状況が続いています。

――現在の宿泊稼動は。
宮原 宿泊は、以前から都市立地は強く郊外立地は弱い。この傾向は現在も同様です。どちらの立地でも、土・祝前日は一部の店舗を除き基本的に満室にはなります。しかし平日は平均すると60%程度。全日平均では宿泊稼動は70%程度というのが現状です。
 週末も、以前は宿泊客の来店の波が複数回ありました。それが現在は1回。そのコアタイムを逃すと宿泊は埋まらない。それだけに各店舗の宿泊客来店のコアタイムを見極め、その時間帯はできるだけ支配人が在館するようにして、清掃待ちの状況を極力減らすような運営体制をとるようにしています。

――深夜も休憩利用できるタイムシェアの利用システムの増加も宿泊減少に影響しているのでは……。
宮原 24時間休憩利用のできる利用システムは、10数年前に都市繁華街から生まれました。当時は、宿泊1組よりも休憩で回転させたほうが売上につながったわけです。しかし、利用者数が減少してくると休憩で回転しなくなり、宿泊客が休憩客になるだけとなってしまったケースも少なくないように思われます。当社ホテルは、宿泊・休憩の利用システムを基本にしていますが、タイムシェアが定着しているエリアでは実施せざるを得ないのが実情です。タイムシェアは長時間利用では料金も高くなってしまい、長時間滞在を促すことは難しい。しかし、高回転する地域であれば、退室時間が集中しないというオペレーション面のメリットもあります。

――宿泊のチェックイン時間の変化は。
宮原 週末は従来通りですが、平日は早まっています。18時あるいは20時からが多い。ただ、チェックイン時間を早めても、すべての宿泊客が早い時間に来店するわけではないので、夜間の休憩組数には影響しないといえます。

「お泊りパック」の魅力を休憩利用にも採用

――「お泊りパック」のきっかけは。
宮原 ビジネス・シティホテルの宿泊プランです。40 ~ 50種類のプランを設けているホテルもある。朝食の有・無、喫煙・禁煙だけではなく、クオカード付きやVOD見放題、ロングタイムなど多彩なプランが設定されており、利用者は自分に合ったプランを選べるわけです。レジャー・ラブホテルも複数の宿泊プランがあっていいはずです。

――具体的な内容は。
宮原 3種類のプランを設定しました。
・Aコース=宿泊料金+1,000円で、アルコールorソフトドリンクサービス(1名1杯)と、モーニングサービスorアラカルトメニュー500円分を提供。
・Bコース=宿泊料金+2,000円で、食事2,000円分+ドリンク2,000円分の提供。
・Cコース=宿泊料金+3,000円で、食事2,000円分+ドリンク2,000円分に加えて、1時間延長とコンビニBOX商品orランジェリー1,500円分の提供。
お客様にとってBコースなら2,000円お得、Cコースなら3,500円お得になります。スタート時は、B、Cコースで飲食4,000円分の提供としたのですが、食事のオーダー量が大幅に増えて厨房の調理作業がたいへんになってしまい、食事とドリンクに分散するようにしました。
 現在、店舗によっては1日に3、4組がこの「お泊りパック」を利用しています。やはり中間の+2,000円コースが多い。リピーター客の利用が多く、単価アップに加え固定客の確保、利用促進にもつながっています。
 利用者からは休憩でも同様のサービスを求める声が多く、この7月から休憩でも利用できる「ラブ特セット」を実施しはじめました。こちらは2,000 ~5,000円のプラス料金です。さらに、コンビニBOX商品とランジェリーに特化した+3,000円、+5,000円の「非日常な時間を楽しむ」セットも追加。これで休憩利用も、お得感による満足度向上で集客・単価アップにつなげたいと思っています。

――貴社は、昨年にメルマガ会員に50問に及ぶ詳細なアンケートを実施しましたが、宿泊に対するニーズとは。
宮原 宿泊利用者は、やはり20代、30代が中心です。また「ホテルに来なかったらどこに行っているか」の設問への回答の上位は映画、食事、カラオケです。レジャー・ラブホテルでは、この3要素は不可欠といえます。さらに、食事の要素を考えれば、メニューの充実だけでなく、食べやすいテーブルやソファの大きさ・高さも考慮しなければなりません。もちろん、清潔さや快適性は前提条件になります。

――その他、宿泊利用促進に効果的な設備は。
宮原 人工温泉を数店舗で導入しましたが、宿泊や長時間休憩の利用者に好評です。今後は、軟水装置に注目しています。従来の装置に比べてメンテナンス性が格段に進歩していて扱いやすくなっています。肌に優しい水は、実感できるだけに女性客へのアピール力は大きいと思います。

――今後の宿泊強化の方向は。
宮原 平日の宿泊に関しては、ビジネス客の取込みも進めていきたい。都市立地のホテルであれば、予約と外出可能、早い時間のチェックインを打ち出すことで可能性は大きいといえます。一方、インバウンド客に対しては、言葉の問題と一般ホテルとの利用システムの違いなどから対応は難しい。インバウンド客の取込みは、今後の課題といえます。