宿泊稼動を再考する〜(株)GHP 代表取締役社長兼CEO 宮田啓光

「 クラブチャペルホテルズ」のブランドで全国に83店舗を展開する(株)GHP。近年、横ばいだった宿泊稼動が、今年に入り回復に転じている。インバウンド客の受入れや予約対応、飲食の充実、細部にわたる快適性の追求など、さまざまな取組みが奏功しているという。同社の宿泊稼動の状況と稼動回復につながった取組みを、代表取締役社長兼CEO 宮田啓光氏に聞いた。

インバウンド客の受入れを昨年からスタート

――近年の宿泊稼動の状況は。
宮田 今年は増加に転じています。とくに都市部の宿泊が好調です。ビジネス・シティホテルが高稼動で満室という状況の影響もあると思いますが、当社のホテル自体でも宿泊獲得に向けて、さまざまなアクションプランを実施してきた効果が現れてきたとみています。

――宿泊稼動が上がらない要因とは。
宮田 若者人口の減少も確かにありますが、利用システムの問題もあると思います。宿泊が減少しはじめた時期から、宿泊確保の対策としてチェックイン時間を早めるホテルが増えてきました。その結果、深夜来店のお客様にとっては、遅く来店すると短い時間で同じ料金、割高というイメージが生じはじめたようにも思われます。
 もう1つ、ラブホテルの非日常性が薄れたてきたことが大きな要因ではないでしょうか。設備面をみても、以前は確実に一般家庭にはない魅力に溢れていた。それがテレビ画面のサイズも家庭と大差がなくなり、最近ではジェット・ブローバスやテレビ付き浴室のあるマンションも少なくない。さらに風営法のコンプライアンスから鏡の使用などラブホテルならではの演出も減
少していった。多くの経営者は、非日常性強化の必要性を感じながらも、融資を受けることが難しく追加投資できない状況が続き、圧倒的な非日常性を提供できなくなってしまった。この状況が宿泊の減少につながっていったと思います。

――貴社ホテルでは、インバウンド客も取込みはじめていますね。
宮田 昨年、外国人観光客の多い京都のホテルからスタートさせました。「ブッキングドットコム」などのホテル予約のエージェント数社を通して受入れています。エージェントを通すと手数料はかかりますが、身元がわかるので安心です。通常のお客様に迷惑がかからないように受入れには慎重さを期しています。現在、都市部の新法ホテル約20店舗で対応しており、モーテル形式などの4号店舗では案内が難しいこともあって対応しておりません。

――利用の状況は。
宮田 対応に手間がかかり通常のお客様へのサービスが低下してしまっては意味がありませんので、1店舗あたり3~5室程度にとどめています。また繁忙時期は、外国人の予約販売は止めております。

――特別な宿泊プランですか。
宮田 店舗によって若干違いますが、チェックインは15時からなど早めにして料金は通常より高い設定。当社店舗はすべて外出可能ということもあり、その他は通常の宿泊と同様です。

――言葉の問題への対処は。
宮田 外国語に堪能なフロントばかりではありませんが、タブレットPCでのインフォメーション提示と翻訳アプリなどで対応できます。今年になって、さらに英語、中国語の詳細なインフォメーションを整備しました。リモコン1つとっても多機能なので分かりやすい説明が必要です。外国人の利用者からは、一般ホテルにはないデザイン性や多彩な設備などが好評です。確かにオペレーションの手間はかかりますが、今後も外国人観光客の増加は明らかなので、受入れ体制をさらに充実させていきます。

――一般利用者の予約対応は。
宮田 以前から電話とネットで予約に対応しています。メンバーだけではなく新規客も受付けますが、無断キャンセルはほとんどありません。ただ、電話予約ではフロントの対応が重要です。予約を受けたときに来店時間や連絡先の電話番号など必要な数項目を確認する。お客様はラブホテルの予約利用に慣れていませんから、確実に予約を受けました、という確認の意味もあります。以前からフロントのトーキング研修を行なってきたことも、予約対応に奏功しているといえます。
 予約は、2週間~1か月前から受付け、対応する組数は、前年同月同曜日の稼動データなどから判断します。客室の指定は不可で基本的にボリュームゾーンのランクの客室が対象。受付はすべて店舗ごとの対応です。
 また、予約者は来店時間が集中するケースも多い。予約来店者にフロントで待たせては失礼ですから、スムーズなチェックイン体制も必要です。昨年からスマートフォンをかざすだけで予約確認、割引、客室選別が処理できる独自の「スムーズチェックインシステム」を採用して対応しています。
 一方、当初の予約実施の目的の1つがビジネスユースの促進でした。PC用LANの設置や新聞サービスなどビジネス利用向けのサービスも実施。しかし、やはりイメージ的に抵抗感のある人が多く、利用はあるのですが、まだ伸び悩みの状況です。

飲食の充実に加え細部の快適性を徹底追求

――そのほか、宿泊促進に向けて重視していることは。
宮田 やはり飲食の充実です。宿泊のチェックイン時間を早めるのは、“食事をしてからホテルを訪れる”というデートの流れを、食事の時点から取込むためです。レストランと同等以上のレベルの飲食提供が必要。チェックイン時間を早めるだけでは訴求力はありません。
 そして、やはり基本は清潔さと快適さの実現です。とくにベッドまわりは重要。店舗によってベッドは下地が異なるので、硬すぎず柔らかすぎず、最適な状態にするため、マットの厚さや種類で個別に調整しています。リネンも重要です。とくに嫌な臭いが残っていると致命的。確実なチェックを行なうとともに、ピローケースは自社内洗濯に切替え、枕も丸洗いできるタイプを独自開発し採用しはじめています。
 また、宿泊客は、複数回の回転清掃の後に利用することになります。予想以上に傷みや汚れが発生しているケースもある。それを回避するには、徹底した本掃と回転清掃のレベルアップしかありません。そのために、より清掃しやすい道具を揃えることも重視。現在、独自開発の洗剤を使用していますが、掃除機や粘着クリーナーも音が小さく使いやすくよりキレイになる、ホテル清掃に適したものを常に探し、なければ改良して使用するといった取組みを続けています。
 そして、今年のスローガンでもある「No.1ホスピタリティホテル」の追求。1室ごとに本当に使いやすい状態にあるのかどうかを再検証し、細部の不満、不便を1つ1つ解消していく作業を進めています。このような清潔さと快適さの徹底追求は、地道な取組みながら、最終的に宿泊稼動に関わる重要な要素だと考えています。