意外に知らないローションの使い方と選び方

 浴室でマットプレイが楽しめるレジャー・ラブホテルは少なくない。そこで欠かせないのがローションだ。その一方、女性の約8割が性交痛を経験しているというデータもある。そして、マットプレイに適したローションと性交痛対策に適したローションでは、成分が異なるのだ。しかしローションの知識はまだまだ一般には浸透していない。ネットやイベントを通してローションの啓蒙活動に取組む「ローション博士」に、気持ちの良いセックスをサポートするローションの使い方、選び方を聞いた。

欧米と日本で異なるローションの使われ方

―ローションの啓蒙活動に取組むようになった経緯とは。
ローション博士 輸入コンサルの会社に勤務していて、7年ほど前に米国でNo.1ブランドのアイディルーブ社のローションに出会い、日本への輸入に関わったのが始まりです。高品質の商品なのですが、国内商品と比べると単価が2倍くらい高い。当時、ラブホテルにもアプローチしたのですが、単価の高さから採用されなかった……。
 そもそも、日本と欧米では、ローションの成分も使われ方も違っていたのです。ローションに関して勉強していくうちに、さまざまな知識を得て、日本でも欧米タイプのローションが豊かなセックスライフに役立つと思って、4年前から「ローション博士」の名前で啓蒙活動をするようになりました。

―日本と欧米の違いとは。
ローション博士 日本は、風俗店のマットプレイからローションの商品化が進みました。大量に使うので低価格が求められた。一方、欧米人は日本人よりセックスの際に濡れにくく乾燥しやすい体質。そこでカップルがセックスの際に使うために、乾きにくく潤いが持続することが重視されて商品化が進んだのです。
 そのため、欧米ではドラッグストアにさまざまな種類のローションが置かれカップルが抵抗なく購入しています。しかし、日本の場合は、まだまだ「アブノーマルなプレイに使う」「風俗店で使う」「男性がオナニーで使う」といったマイナスイメージが強い状況です。
 男性のなかには「俺はテクがあるからローションなんていらない」などという方もいて、女性も「不感症で濡れにくいと思われたくない」という方も少なくない。でも、現実問題として、女性の約8割が性交痛を経験しているというデータもあるのです。
 商品の輸入を検討していたときに、友人女性5人にヒアリングしたところ、2人がいつも痛い思いをしていて、1人がときどき痛い思いをしていた。5人中3人に性交痛の悩みがあるという現実に驚きました。ローションを使えば気持ちの良いセックスができるのに、手軽に購入できない環境で、しかもどのような商品を選べばよいのか、その知識もほとんどない。これは、ローションに関する情報を発信していかなければならないと思いました。
 その後、アダルトショップ等にアプローチしていったのですが、海外市場に詳しい大手アダルトショップや女性視点の商品を扱う北原みのりさんの「ラブピースクラブ」などは、すぐに取り扱ってもらえ、そこから販路が広がり、現在ではネットの「amazon」でも取り扱われるようになりました。

主成分によって適した使い方がある

―使用目的ごとに適したタイプのローションとは。
ローション博士 まず、成分が明記されている商品を選んでください。日本では、法律上は雑貨扱いのため成分表示は義務付けられていません。でも、体内にも入るわけですから信頼できる商品というのが前提条件です。 では、使用目的別に整理してみましょう。
①浴室のマットプレイ
 ラブホテルでも見られるマットプレイなどには、ウォーターベースで「ポリアクリル酸ナトリウム」を主成分にしたタイプが適しています。日本製のほとんどがこのタイプ。価格もリーズナブルなので大量に使ってヌルヌル感を楽しむことができます。ただ、この成分は水分を吸収して粘りを出すので、膣内で成分が乾くと大変残りやすく、また洗浄しづらいので挿入用としてはお勧めできません。
②性交痛の対策
 性交痛の対策には「グリセリン」など膣内に入っても洗い流しやすい成分のものがお勧めです。ポリアクリル酸ナトリウムを主成分とするタイプより価格は高いのですが、乾きにくく潤いが持続するので2cc程度の少量で十分に足りますから、コストパフォーマンスは決して悪くはありません。
③アナルセックス
 欧米のゲイの人たちがよく使用しているのが「シリコン」タイプです。油に近いサラっとした質感で潤いが持続します。日本のゲイの方に勧めたところ、「従来のように行為の途中で継ぎ足す必要がなくなった」と喜ばれたこともあります。ただ、シリコン製のバイブ等を使うときは、相性が悪いのでグリセリンタイプを使ってください。また、シリコンは引火性があるので、火気に注意しましょう。
④オーラルセックス
 フルーツの味や香りの付いたタイプは、オーラルセックスに抵抗感のある女性も受け入れやすいと思います。アイディルーブのフレーバー付きのものは舐める程度なら許容範囲ですが、食品ではないので飲まないで下さい。

―成分によって「適」「不適」があるのですね。
ローション博士 その他にも、自然志向の方に人気のある植物オイルをベースにしたタイプや、塗るとじんわりと温かくなるタイプなどもあります。また、使用前に冬は温めて、夏は冷やして使うのも個人的にお勧めです。なお、保存は日陰常温です。

―寝具等に付いた場合の洗い方は。
ローション博士 ポリアクリル酸ナトリウムは、シーツ等に付くと固まってしまいますが、豆腐に使う「にがり」を薄めて洗うと落ちやすい。シリコンやオイルのタイプがシーツ等に付くと油シミが残ってしまいます。垂らさないように注意が必要です。グリセリンのタイプは、通常の洗濯で問題ありません。

―ラブホテルでは、タイプの異なる商品を何種類か用意して選べるようにすると良いですね。
ローション博士 はい。成分や特徴をPOPなどで説明して提供するといいですね。ラブホテルではコンドームやローションは無料というイメージがありますが、いろいろなローションが用意されていて、説明を見ながら選ぶことができれば、有料販売でも魅力を感じる利用者は多いと思います。
 もちろん、性交痛の女性にとっては性交痛に適したローションが手軽に使える環境というのは、とても喜ばれると思います。これまで日本人は、欧米人よりも潤いがある体質と言われてきましたが、最近の女性はダイエットやストレスでホルモンバランスが崩れ、セックスの際に濡れにくい、あるいは濡れてもサラサラで潤滑性がないという女性が増えているのです。
 私自身、結婚してからもラブホテルはときどき利用しています。やはり日常とは違う楽しさがある場所ですよね。マットプレイもそうですが、カップルが自宅では味わえない気持ち良いセックスができる環境というのはとても大切だと思います。さまざまなタイプのローションが用意されていて、どのような使い方に適しているのかといった解説もあって、使ってみたいローションが手軽に購入できる……これも自宅にはない気持ち良いセックスができる要素のひとつだと思います。
 ラブホテルでは、ぜひ、ローション品揃えと提供の仕方を見直していただきたいと思います。お客様は絶対に喜びます。

ローション博士 輸入コンサル会社に勤務するなかで、米国のローションメーカー・アイディルーブ社の製品と出会う。快適なセックスライフをサポートするローションの魅力を知り、成分や使い方を学ぶうちにローションに関するさまざまな知識を得て、アイディルーブジャパンの広報業務の傍ら、4年前から「ローション博士」の名前で、ネットやイベントを通してローションの啓蒙活動に取組む。
掲載 LH-NEXT vol.24(2015年4月30日発刊)