[地方ホテルの活性化]ルナパークグループ 代表取締役 庄司乃由

市場性を見極め“遊び”の要素を強化、地方立地でも求める収益は確保できる
ルナパークグループ 代表取締役 庄司乃由

ルナパークグループは、現在、運営管理・コンサルティングで28店舗を展開する。東北から中部にかけた広いエリアで都市立地、地方・郊外立地とさまざまな環境下での展開だ。立地の違いによる売上の状況、そして地方立地ホテルではいま何が求められているのか、同グループ代表取締役・庄司乃由氏に聞いた。

改装、料金設定、“遊び”の要素が集客・売上向上のポイント

――大都市圏と地方における売上状況の違いは。
庄司 今年前半の状況は、全店舗トータルでは前年比107.9%。関東圏は好調に売上回復傾向を示していますが、東北や中部などの地方の市場環境は厳しい状況が続いています。やはり地方では若者人口が減少し、景気回復感もまだまだ感じられない地域が多い。
 実際に、関東圏のホテルに比べ地方のホテルは、1室1か月売上でみると10万円前後は低い状況です。ただし、事業としてみれば地方のホテルのほうが魅力のあるケースは多い。取得費用が低いことから、投資効率がよく高い利回りを実現できるケースが少なくないのです。
 同時に、地域のニーズを捉えた改装やサービス、料金設定などを施せば、大都市よりも地方のほうが反応が速く、売上の伸び率も高い。実際に7月末に改装オープンした東北のホテルは、1室あたり100万円程度のローコスト改装でしたが、改装前に比べて約40%増の売上を示しています。もちろん、商圏内の人口変化や経済状況も含めた市場ポテンシャルの的確な判断が必要となります。
 ただ残念なことに、レジャー・ラブホテルの事業特性の知識がない投資家などには、地方ホテルの投資効率の良さが理解されにくい。どうしても投資は大都市のホテルに集中する傾向が強い。こういった状況も地方が活性化しない背景にあると思います。

――地方のホテルで集客・売上向上を図るためには……。
庄司 やはり、ローコストでも改装を施して新しくなったことをアピールする効果は大きい。その際には外観や名称の変更も有効ですね。この数年の売上低下から経費削減でサービス低下や老朽化が進んでしまったホテルも多いことから“新しいホテルに行きたい”というニーズは大都市よりも強い。さらにショートタイム・低料金の利用が大都市よりも少ないので、集客向上が売上・収益の向上に直結します。
 そして、客室内では“遊び”の要素が重要です。地方では、カップルが遊びに行く場所自体が少ない。どこかに遊びに行った帰りにホテルを利用するのではなく、ホテルに遊びに行くという感覚です。ですから、映像系のアミューズメントやリーズナブルで美味しい食事が重要になってくるのです。

――客単価の状況は。
庄司 この数年、立地に関わらず価格競争と宿泊の減少が進み、客単価も低下を続けてきました。しかし、限界にきているともいえ、現在は下げ止まり感があります。宿泊を増やして客単価アップを図ろうという考え方もありますが、立地特性から宿泊1組と休憩2組ではどちらが獲得しやすいか、どちらが利益をもたらすのか、そういった視点からの集客戦略の構築も必要です。また、新規客獲得のため“入口のハードル”はできるだけ低くしたい。そのための料金体系の工夫も必要。地方においては都市部以上に、幅広い視点から料金体系を検討して設定することが求められます。
 地方においては、当社も含め多店舗展開企業は、料金設定のノウハウや各種サービスの引き出しの多さ、コスト面のスケールメリットなどから、優位性があります。ただし、地域1番店を狙うには、やはり大きな追加投資が必要となる。改装の際には、事業計画に沿った利益確保ができるのであれば、確実に2番店を狙っていくという戦略も有効だと思います。

「星・星・星」の新ブランドを地方ホテルで展開

――地方では、プライバシー確保はやはり重要なポイント……。
庄司 とくに戸建や連棟式のホテルを選ぶお客様には、やはりプライバシー確保が重要です。サービスなどでもその視点が必要。口頭でのアナウンスが必要となるサービスや客室へのケータリングなどもできるだけ避け、客室内で完結する楽しさの提供を重視しています。例えば、携帯電話の充電器は2人分備えておく、プレゼント商品はコンビニボックスを利用して3つのコラムから1つを選べるようにする、等々です。東北エリアは4号営業ホテルが多く、このような対応が基本です。
 一方、中部エリアでは郊外でも新法ホテルが多い。そのため、フロント対面に抵抗のないお客様にターゲットを絞り、プライバシー確保よりも対面接客によるプラス要素を前面に打ち出しています。ロビーでのアメニティや駄菓子のバイキングサービス、あるいはサイコロを振って出目によってプレゼントをするような参加型のイベントなどで、近隣ホテルにない楽しさのアピールを重視した取組み方です。

――地方での飲食提供のポイントは。
庄司 現在、飲食に力を注ぐホテルも多く、食材提供業者も多彩なメニューを提供しているので、飲食による決定的な差別化は難しい。ただ。近隣ホテ
ルと同じメニューでは面白みがない。いわゆるB級グルメやひと手間加えたメニューなどでオリジナリティを感じてもらえるメニュー構成を心掛けています。これはアメニティも同様です。周辺ホテルがどこも同じアメニティという横並びが多いだけに、例えば今夏は女性向けにサンブロック系のアメニティを加えるなど、ちょっとした違いでホテルのセンスが伝わるような商品揃えを重視しています。

――今後の展開の方向は。
庄司 今夏、岩手と埼玉の郊外で改装した店舗は「星・星・星(キラキラボシ)」という新しいネーミングを施しました。都市のホテルは「ルナパーク」、地方や郊外が「星・星・星」(女性への訴求力重視)と「ドラゴンリゾート」(男性への訴求力重視)という3ブランドで、今後は展開していく考えです。
 前述したように、地方でも市場性の判断を間違わなければ、今後も十分に高い収益が確保できると考えています。その一方、人口減少や経済状況からホテルの継続が難しい地域では、業態転換も含めてホテル事業を継続するどうかの判断が必要なケースもあると思います。その見極めが重要です。
 一方、関東圏に関しては、今後はラブとビジネスを融合したラグジュアリータイプの新業態ホテルなど新しい取組みもしていきたい。大都市圏と地方では、方向は異なりますが、ともに“攻め”の姿勢で臨んでいきたいと思っています。

〈掲載:LH-NEXT vol.22(2014年10月31日発刊)〉