[特別座談会]日本自動車旅行ホテル協会、 青年部を立上げ活動をスタート

一般社団法人 日本自動車旅行ホテル協会 青年部
部長 梁瀬広実/役員 松本明樹/役員 小関 乃/役員 島田亮嗣

 一般社団法人日本自動車旅行ホテル協会では、45歳以下の若手経営者を中心に青年部を立ち上げ、活動をスタートさせた。青年部の役員4名にお集まりいただき、青年部立上げの経緯と目的、そして現在の若手経営者が抱える悩みや問題も含めて聞いた。

4月のホテル視察会から活動をスタート

――青年部立上げの経緯は。
梁瀬 若手の2代目、3代目経営者たちも、さまざまな悩みや問題を抱えながらホテル経営に臨んでいます。しかし、横のつながりがなく相談相手もいないというケースも少なくない。そのような状況に対応したいというのが、そもそものきっかけです。
松本 全旅連(全国旅館ホテル生活衛生同業者組合連合会)には青年部があり、さまざまな活動をされている。私たちの協会でも、若い世代による活動も必要だと思いました。同世代同士なら気軽に相談や意見交換もしやすいという利点もありますからね。
梁瀬 今年の初めに準備委員会を設け、第1回目の活動として4月23日に、新宿・歌舞伎町で、協会の柳川博一理事の3軒のホテルの視察会と懇親会を行ない50名以上が参加しました。第2回として、7月23日に栃木・宇都宮でホテル視察・懇親会・ゴルフ(翌日)を予定しています。今後もホテル視察や勉強会などを中心に活動していく予定です。

――青年部への参加資格は。
島田 45歳以下で協会会員からの紹介があれば誰でも参加できます。正式な入会手続き等は設けておらず、協会の非会員でも関連企業の方々でも参加できます。地域も限定していません。

――活動の予算は。
松本 現状では、参加者が割勘で実費を負担します。
島田 将来的には、年次計画や規約をつくり予算も確保する方向に向かうと思いますが、まずは若手が気軽に参加できる場ということを重視しました。
梁瀬 私自身を振り返ってみても、やはり先輩経営者や同年代の経営者との出会いは非常に大きい。そこで勉強させていただいたこと、相談に乗ってもらったこと、それらは経営上とてもプラスになっています。ぜひ、この青年部を多くの若手の経営者等に活用していただきたいと思っています。

将来に向けて同世代で議論を

――若手経営者ゆえに抱える悩みや問題とは。
小関 私がホテル事業にたずさわったのは8年前。以降、業界全体が売上低下傾向で、とくにこの数年は厳しい市場環境を余儀なくされました。そのなかで売上を伸ばす視点をもてず、何とか利益を確保する視点からの取組みにならざるを得なかった。これは私たちの世代に共通する問題点だと思います。そのようななかで、私自身は周辺の同業者に恵まれ、同年代の経営者と悩みを相談し合い、先輩経営者からは「気合いが足りない!」と叱咤激励され、それで頑張り続けることができたといえます。父親と経営について議論をしても、市場環境の違いもあってなかなか噛み合わないというのが実情です。
松本 私は17年前にホテル事業に関わり、改装で売上が大幅増になる良好な市場環境も経験しています。ただ、やはり親の世代は家業的な取組み方であり、とくに減価償却と借入のバランスなど財務・税務面に対しての意見の一致は難しい状況でした。
梁瀬 私もホテル歴が15年になりますが、最初の3年間は相談できる相手がおらず、何をすればよいかわからない状態でした。経費を抑えて利益を確保する方向から経費をかけてそれ以上のリターンを得る方向に転換したいと思っても、具体案も示せず説得できなかった……。そのようななかで同業者とのつながりがもてるようになり、ホテルを見せていただき計数も教えていだだき、それらの情報も後押しとなって10年前に改装に踏み切れたという経験があります。
島田 私は、グループ会社が所有するホテルの運営会社という立場。オーナー自身も12年前に素人で参入、私も7年前に素人で運営を任された。当初は何をやればよいのか優先順位が付けられなかった。その後、協会に加盟して繁盛ホテルを見せていただいたり経営者の話を聞かせていただけるようになって、それはいわば成功のひな形ですから、自分が何をすべきか、その判断基準ができたといえます。

――今後のホテルづくりや経営者としての重視点は。
小関 当社ホテルは、高回転も高単価も難しい立地。そのなかで回転よりも単価を重視したい。ただしセグメントできるだけの利用者数がいない地域なので、間口を広げ飲食物販等で単価を上げる方向で取り組んでいます。今後は、店舗も増やしたいしホテル以外の事業にも取り組みたい。親の資産を引き継ぐだけではなく、やはり私自身で勝負を掛けたいと思っています。
松本 目標はシンプルに地域一番店です。ただ、現在の利用者ニーズを捉えるために、いつどこにどのように追加投資をすればよいのか。その判断が難しい。20代、30代の若者層の感性を捉える対応が必要だと思っています。
梁瀬 当社のホテルの中心客層の中高年の固定客が満足して飽きずにリピートするような取組みを重視していきます。同時に、中期的視点で事業を考えると、個人商店から企業への進化が不可欠であり、そのためには、社員育成や組織整備に真剣に取り組まなければならないと思っています。
島田 運営会社としては利益の確保が最大の目標。市場環境の悪化や建物の経年劣化といった状況の変化があっても利益が確保できる運営体制をいかにつくるか。社員一丸となってチームワークで臨む体制をつくっていきたいと思っています。

――利用者数が減少している現在、需要を喚起するには。
小関 現在の多くのホテルは、清掃もサービスも一定以上のレベルで料金もリーズナブル。その反面、利用者からはどのホテルも同じように見られているのではないかと思うのです。そして、この数年の市場環境悪化の時期にも売上を伸ばしたホテルもあるという事実。それらを考えると、やはり、自社ホテルの需要を喚起して売上を伸ばすには、経営者の努力しかない。私自身まだまだ努力が足りないと思っています。
松本 10年前と比べるとセックスに対する価値観や行動が変わっていることは確か。例えば、男性同士の利用をお断りするホテルも多いのですが、社会的に男性カップルも容認され始めている。そういった時代の変化への対応も必要でしょう。ただ、同時に宿泊施設として求められる基本的要素はブレなく追求していく。その両面からの取組みを進めることしかないと思います。
梁瀬 当社ホテルの場合、主要客層の中高年に対しては、接客態度も含め小さな満足を積み上げていくという方向。一方、若年層を増やすには何らかの仕掛けが必要だと思います。そこで現在、アピール力のある特室をつくろうと検討中です。
島田 利用者の多いエリアなら客層をセグメントして特化したホテルづくりの方向もあると思います。ただ、私としては、最も大きなパイをターゲットにしたい。そうすると、やはり20代、30代にアピール力のあるホテルづくりやサービスを強化していかなければならないと考えています。
松本 現在の若者層の集客を考えると、ライバルは同業ホテルだけではなく、ネットカフェなどの異業種もライバルになっている……。
島田 当社ホテルは、若者層からなんとなく料金が高いというイメージをもたれている。でも、決して高い料金ではない。ホテルのイメージをどうアピールしていくか、ブランディングも含めて、今後の課題です。
梁瀬 若者のほうが、コストパフォーマンスをシビアに求めますね。高額なホテルを利用する若者も同様。それだけに、料金が高くてもコストパフォーマンスが高いと思われる特徴のある特室などがやはり必要でしょう。
島田 コストパフォーマンスの高さを感じされる要素として露天風呂はやはり有効ですね。先輩経営者のホテルで、稼動の悪かった高単価の客室に露天風呂を設けたら一気に稼動が上がったという例もあります。
小関 何らかの追加投資をする際に、1人で考えていても結論はなかなか出せない。気軽に相談できる同世代の経営者がいれば、コストや効果も含めて適切な判断をするための情報が得られます。
松本 経験の浅い若手経営者等にとって、この座談会のような経営、運営、追加投資等々について遠慮なく意見交換ができるというのは、とても重要だと思います。結論がでなくても同じ悩みを抱えていることがわかるだけでも、モチベーションにつながる。ぜひ、青年部という若手が気兼ねなしに意見交換ができる場を利用してください。