顧客満足に繋がる“真実の瞬間”を原点に再注力 顧客の信頼を得る業績向上とマネジメント戦略

 レジャー・ラブホテルを全国展開する㈱GHPでは、4月の消費税増税の前に、顧客視線で全施設の設定価格、全室のクオリティーなど自社の“真実の瞬間”を再確認した。顧客満足と業績向上の相関について、同社代表取締役社長・宮田啓光氏に聞いた。

他業種も比較しながらお値打ち感を再考

――今年前半の状況はいかがですか。
宮田 順調です。4月の消費税増税後の売上状況も、全店舗トータルで前年比103 〜104%で推移。消費税増税に対しては、全店舗・全客室の料金見直しを行ないました。その結果、値上げした客室もあれば維持あるいは値下げの客室もあり、トータルでは3%弱の値上げとなっています。消費税増税を機に、本当にお客様に納得されている適正な料金なのかどうか再検討しようと、今年初めから私も含め役員総出で全客室のチェックをしたのです。この作業が、お客様にとっての“お値打ち感”を再考する機会となりました。

――お値打ち感を決定づける要因とは。
宮田 料金に見合う値打ちがあれば利用していただけるし、値打ちがなければ利用されない。単純なことですが、その判断は難しい。お客様は、他のレジャー・ラブホテルだけではなく、他の業種業態のお値打ち感と比較検討して判断するわけです。
 現在、週末のビジネスホテルは予想以上にカップル客が利用している。シティホテルもネット当日予約の割安料金でカップルも利用しやすくなっている。ネットカフェで深夜を過ごす若年層カップルも多い。一方、ニトリやIKEAの進出で住宅のデザイン性も高くなってきている……。
 こういった状況のなかで、レジャー・ラブホテルは、お客様にとってお値打ち感のある存在なのかどうか。そこから再考しなければならない。単純な値下げや割引クーポンでは、お値打ち感は出せないと思います。

――そこで求められることは。
宮田 料金変更や改装、設備追加等を考える前に、基本の清掃やメンテナンスが本当にしっかりとできているのかどうか、宿泊施設としての、レジャー・ラブホテルとしての原点に、再度、力を注ぐべきだと考えています。当社は「カスタマーサティスファクション査定」と呼ぶ400項目以上に及ぶチェックシステムで不備のない客室提供を図っていますが、それができるのはビジネスホテルのように清掃・管理を外部委託せずに、自社スタッフで対応しているからです。その強みをもっと打ち出していかなければならない。やはり、運営力の基本は人です。現場のスタッフが「うちのホテルは本当にきれいだよ」と自信を持って友人等に言えるのかどうか。現場スタッフがそういったプライドを持って仕事に取り組めることが重要です。その就労環境をつくるためには、経費削減を優先して「少人数で頑張ってくれ」といった状況では無理だと思います。

――人手不足が深刻化するなか、スタッフの確保は大きな課題……。
宮田 現在、当社ではスタッフの増強を進めています。現在のパートアルバイトの職場決定の優先順位は、通勤の便利さ、シフトが自分に合っている、仕事内容といった要因が、給料より優先しているというデータがある。時給をアップしただけではいい人材は獲得できません。バックヤードの雑然とした場所で雑な対応の面接をすれば、優秀な人材ほど「ここでは働きたくない」と思ってしまうでしょう。今年初めに、募集・採用マニュアルを新たに制作しTV会議で各店長に指導しました。応募の電話には「ご応募ありがとうございます」の一言を必ず述べる、面接場所の設定、お茶の出し方等々、細部にわたる指示をまとめたマニュアルです。わかっていても実際にはできていない店長も少なくないのが実情です。そして、応募者に好印象を与える対応は、そのままお客様への接客対応にもつながります。

無限に創出できる客単価アップの可能性

――ハード・サービス面でお客様の満足度に関わる要素は。
宮田 お客様のニーズは多種多様、地域やホテルによっても違うので一概にはいえません。アンケートやホームページの「お客様センター・お問合せ」フォームからお客様の声を集め、細分化する要望ひとつひとつに細かに応える積み重ねが重要だと考えています。
 一方、現在の消費者のお値打ち感をみると、ユニクロの低価格商品やブランドの高価格商品が売れているなかで中間層が苦戦している状況。これはレジャー・ラブホテル分野にも当てはまるように思います。
 とはいえ、むやみに経費を抑えて安く販売する、あるいは増税に乗ってただ高くするといったマネジメントでは長期的な商売が成立しません。
 サービスについても、例えば、飲食に力を注いでいますが、目の前にコンビニがあるような都市型店舗では、充実した飲食メニューの提供より、持込み冷蔵庫と電子レンジを備えるほうがお客様の満足につながる。ここは低単価・高稼動で勝負をします。
 ただ、飲食メニューに注力できる店舗は客単価をアップできます。来店のたびに何らかの変化がある細やかなマネジメントも大切ですので、今年はプレミアムメニューを打ち出し「キャビアプレート&ランソンシャンパン」という8,500円のメニューを提供しています。お客様にも好評でメディアにも取り上げられていますが、これにより成果を上げたのが1,290円のキャビアのパスタで、これまでの同価格帯商品の販売量を超える爆発的なヒット商品となっています。その要因は、高価格帯から中価格帯、低価格帯の構成をしたからです。冒頭述べた3%弱の値上げは、単に設定をアップしたのではなく、このような戦略を含めた顧客の満足を伴う値上げですので、お客様からの信頼は変わらないと自負しています。

――4号営業におけるお客様満足とは。
宮田 ラブホテルらしさにつながる設備や空間はやはり訴求力があります。コンプライアンスのなかで可能な範囲で、ラブニーズに対応する設備等の設置を進めていきたいと考えています。シティ・ビジネスホテルも含め旅館業法のホテルとの差別化にもなります。
 また、4号営業だけでなく旅館業法営業でもカップルユースでは、やはりプライバシーの確保は重要。その1つとしてチェックインのスムーズさをさらに追求したい。今夏からスマホを使ってスムーズなチェックインやクーポンに対応する、独自のシステムを導入していく予定です。
 そして、業界全体でもレジャー・ラブホテルを盛り上げることが大切です。各社にもご協力いただき1年に1日でも全国のホテルが宿泊満室を取れるような、日本全国のラブホテルが元気になる日をつくりたいと思います。


チャペルシーズンプレミアムメニュー、「キャビアプレート&ランソンシャンパン」セット





清掃・メンテの徹底に加え、自社内に営繕部隊を設けて汚れ、破損などの不備にスピーディに対応する