サービス業として「至れり尽くせり」を追求 強気で満足度アップ・単価アップを進める

 関東を中心に「HOTEL555」ブランドを中心に直営14店舗を展開してきた内宮商事㈱。今年6月、神奈川・湘南にレジャー・ラブホテルの魅力を注ぎこんだリゾートホテル「BREATHHOTEL」をオープンさせた。このホテルの開発を通して、レジャー・ラブホテルの魅力と改善点が再認識できたという。それは何か。同社代表取締役・内宮則一氏に聞いた。

リゾートホテル利用者を満足させるレジャーホテルのノウハウ

――「BREATH HOTEL」の開発経緯からお聞かせください。
内宮 当社の既存14店舗はすべて4号営業です。宿泊は17時チェックインで外出自由など基本的に一般のホテルと同様の利用システムですが、カップルのニーズに応えるうえで、プライバシーの確保や導入できる設備機器等々、やはり4号営業が必要だと考えています。しかし今回は、湘南の海沿いの好ロケーションながら4号営業での開発は不可の立地。それなら、現在、私たちが有しているレジャー・ラブホテルのノウハウや魅力を、さらに推し進めて注ぎこめば、従来にない魅力を有したリゾートホテルがつくれると判断して着手しました。
 レジャー・ラブホテル事業の高収益のベースは回転です。しかし、クオリティ・コスト・稼動を総合的に考えると、低単価・高回転よりも高単価・低回転のほうが望ましい。これまで既存店もその方向で臨んできたこともあり、1日1回転が上限のリゾートホテルで、その方向を突き詰めようという考えもありました。

――レジャー・ラブホテルのどのような魅力を取り込んだのですか。
内宮 宿泊業態のなかでレジャー・ラブホテルの浴室は最も進んでいます。そこで、上層階には湘南の海が眺望できる開放的な浴室を設け、全室にマイクロバブルやミストサウナ、浴室TVを装備。さらにラジウム軟水浴を採用。従来のリゾートホテルにはない、楽しめる室内の浴室空間を提供しました。
 また、食事はレストランを設けずインルームダイニング形式。一般ホテルの関係者からはオペレーションがたいへんではないかと質問されますが、私たちにとっては慣れているサービスです。実はこれが、お客様から評価が高い。シティ・リゾートホテルの朝食は、着替えて化粧をしてレストランへ。それがジャマ姿のままリラックスして朝食が取れるというのです。
 その他にも、チェックイン時に好みのアメニティを選択、客室内は必要なものが必要な場所にある使い勝手のよさ、等々、レジャー・ラブホテルのノウハウを活かしていった。そのうえで、リゾートホテルの魅力となる客室内エステサービスなどを採用していったのです。

―― 一方、レジャー・ラブホテルの改善点として見えてきた部分とは。
内宮 BREATH HOTELでは、細部にわたってのクオリティにこだわりました。家具の扉は閉じるときに音が出ないスロークローザー、ベッドは低反発ウレタン使用のオリジナル、包布等はハウスダストの出にくいエンドレスファイバー、指紋を残さない手袋着用の清掃……。これらが前述のレジャー・ラブホテルの魅力・ノウハウに加わった結果、ネットの口コミで「至れり尽くせりのホテル」との評価をいただいたのです。嬉しかったですね。同時にこれは、レジャー・ラブホテルでも、もっと意識しなければならないキーワードだと、強く感じました。
 現在のお客様は料金に非常にシビアです。各支配人もその状況を踏まえコスト意識は極めて高い。しかしながらBREATH HOTELで用品・備品のクオリティにこだわりコストをかけても、それに見合う単価が取れる状況を実際に目にしたことで、お客様が「100円余計に支払っても納得・満足できる」ホテルづくり・運営とは何か、コストをかけて満足度を高めながら収益を上げる方法は何か、各支配人がそういった視点をもちはじめたのです。
 今後、既存各店舗においては、今回のリゾートホテル開発によって再確認できたレジャー・ラブホテルの有する魅力をさらに追求し、同時に単価アップにつながるクオリティアップを推し進めていきたいと思っています。

満足度アップによる単価アップを勇気をもって取り組む

――既存店舗の今年の状況は。
内宮 4月の消費税増税時に増税分の3%を上乗せしました。税抜きでの前年比で前年並みか微増という状況ですので、増税の影響はほとんどなかったといえます。

――4号営業ホテルでお客様を満足させる要素とは。
内宮 カップルの利用においてラブニーズに関わる設備や備品等は、やはり満足度に関わる要素として重視しています。同時に、女性に訴求力のある設備も重視しています。マッサージチェアやエクササイズマシン、コラーゲンマシンなど、美容・健康・癒しに関する、時流にあった設備はできるだけ導入していきたい。入替え時期にある日焼けマシンも多いのですが、台数は減っても本格的な製品に入替えていく考えです。そのほか、最近、減少しているミストサウナも、メンテナンスの手間はかかりますが、再度、導入を進めたい。ベッド以外で、カップルがスキンシップをとれる場所をいかに設けるかは、満足度を左右する重要な要素と考えています。

――この数年、レジャー・ラブホテル離れが指摘されていますが……。
内宮 リゾートホテルの利用者にとっても、レジャー・ラブホテルの要素が魅力的であることを、今回、再確認できたわけです。それをどのように伝えるか。ネーミング、ブランディングも大切です。これまでも「555」の名称に「隠家ajito」を加える、HPもホテルのイメージにつながるような色調でつくる、といった取組みを行なってきましたが、名称とイメージと内容がまだまだ合致していない部分も多い。今後、クオリティへのこだわりをもって、その作り込みを進めていきたい。
 また、レジャー・ラブホテルでは、回転を重視し「早くキレイに」という意識になりやすい。しかし本来の優先順位は「キレイに早く」であるべきです。このような意識で、細部にわたりクオリティを高めていく。それがイメージアップにつながっていくはずです。もうひとつ、シティ・ビジネスホテルにはない魅力として多彩なアミューズメント機能があります。これもさらに充実させていきたい。コストをかけて魅力を向上させ単価の向上を図る。まだ、景気回復とはいいきれない環境下では、リスクのある取組み方です。しかし、今後の需要喚起には不可欠だと思います。勇気をもって強気で、取り組んでいきたいと思っています。
(「BREATH HOTEL」の内容はこちら


レジャー・ラブホテルの魅力とノウハウを取り込んで開発したリゾートホテル「BREATH HOTEL」



「HOTEL555」ブランドを中心にすべて4号営業で展開。女性向けの美容・健康・癒し関連の設備も重視