[NHK受信料]日本自動車旅行ホテル協会がNHKと受信料業務委託契約を締結

一般社団法人日本自動車旅行ホテル協会は、今年1月に、NHKと受信料に関する業務委託契約を締結した。これにより、同協会が取りまとめる正会員のホテルにおけるNHK受信料の13%を同協会が負担することで受信料の負担軽減が図られることになった。その経緯と内容等を、業務委託契約を担当した副会長・清水祐侍氏、理事・柳川博一氏、監事・宮原眞氏に伺った。

1年以上前から取組み半年に及ぶ審査を経て実現

――レジャー・ラブホテルにおける、これまでの受信料支払いの状況は。
宮原 NHKは、2009年に事業所割引制度をスタート。これは、複数のテレビを設置するホテル等の事業所に対して、1台は正規の受信料・2台目以降はその半額、というもの。しかし、この制度で支払っていたホテルは極めて少なかった。それ以前の集金人との交渉による1ホテルにつき2~4台分といった契約での受信料支払いを続けてきたところが多いと思います。
柳川 事業所割引に変更すると、それ以前の個々の交渉による受信料に比べて大幅な増額になってしまう。そのため“突然、事業所割引に変更してほしいと言われても納得できない”という経営者が多く、事業所割引での契約に至らない状況が続いたといえます。
清水 2012年7月に、NHKは大手ビジネスホテルチェーン3社に総額7億3,600万円の受信料支払いを求める訴訟を起こし、各種マスコミが取り上げた。その頃から、レジャー・ラブホテルに対しても事業所割引による契約を進めはじめました。
宮原 NHKから契約を求める文書が届いたがどうすればよいか、協会としてはどのような対応をするのか、等々の問合わせや相談もありました。

――協会がNHKと業務委託契約をしようという判断に至ったのは。
清水 協会は、会員から年会費4万8,000円をお預かりしています。これを活用してこれまで勉強会・セミナー等を実施してきましたが、同時に各ホテルのコスト面で直接的なメリットになる施策も探していました。そのなかで、全旅連(全国旅館生活衛生同業組合連合会)などの宿泊業の全国団体は、業務委託によりNHK受信料の負担軽減を実施しているので、レジャー・ラブホテルも同じ条件で実現できないかということから取組みはじめたのです。
宮原 受信料自体や事業者割引に納得できない経営者も多いとはいえ、現在の放送法に則れば支払わなければならない。それなら少しでも低額にできないか、ということです。

――NHKとの交渉は……。
清水 昨年の初めからNHKと話合いをもち本格的な交渉を始めました。そして審査に約半年。レジャー・ラブホテルだからというハードルはなかったのですが、全国組織であることが条件とされ、全国的な活動の実態、さらに加入者に指導できるような定款かどうか等々、細かく審査されました。
柳川 宿泊分野では、シティ・ビジネスホテル、旅館等は、各々の全国団体が業務委託契約を結んでいて、レジャー・ラブホテルの団体だけが業務委託を契約できずにいたわけです。それが、ようやく契約できたという意義は大きいと思います。

他の宿泊業団体と同様に13%の負担軽減

――業務委託契約の具体的な内容は。
宮原 放送受信契約の取次業務と放送受信料の収納業務の委託契約です。

――協会の業務委託を利用すると、受信料はどれだけ軽減されるのですか。
宮原 協会が受信料の13%を負担します。具体的な金額の例を、20室のホテルで衛星契約・12か月前払いのケースでみると……
・1台の通常の受信料=25,320円。
・事業所割引(20室)での年間受信料は、25,320円+(25,320円×50%)×19台=265,860円。
・協会の受信料負担分が13%なので、1台あたり25,320円×13%=3,291円。20室では3,291円×20室=65,820円。
・年間の支払い額は、事業所割引の受信料265,860円-協会の負担分65,820円=200,040円。
となります。
柳川 協会の負担分に関して正確に言えば、業務委託の手数料としてNHKから協会に15%が入る。そのうち2%が協会の事務手数料、13%が会員への還元となります。これは、全旅連などの他の宿泊業の団体と同じ比率です。

――手続きは。
宮原 協会の正会員というのが条件です。そして放送受信契約書、事業所割引申込書、まとめ支払い申込書を協会に提出していただき、受信料は協会に振込み、協会からNHKにまとめて支払う、という流れです。

――申込み状況は。
柳川 協会員に向けた会報で告知したところ、3月15日までに会員の総店舗数の40%以上の申込みがありました。今後も、随時、受付けます。協会のスタンスは、コンプライアンスの視点から受信契約を結んでいただきたい、そこで13%割引される業務委託契約が結べたので利用していただきたい、ということです。ただ、利用するか否かは、経営者の判断に委ねます。個々にこれまでの経緯や事情、考え方がありますからね。
宮原 現実問題として、NHKが起こした受信料に関する訴訟は200件以上あり、NHKの敗訴はありません。現行法下では、受信料に関して裁判を起こしても勝てないと思われます。さらに、訴訟では、過去にさかのぼって受信料の支払いが求められています。
柳川 従来の個々の交渉で支払っていたホテル、あるいは受信料契約を結んでいなかったホテルが、今回の業務委託を通して契約した場合、過去にさかのぼっての請求はないということを付け加えておきます。また、前払いで支払済みの場合、この契約以降の金額は返金されます。もう1つ付け加えると、東京都や埼玉県などでは1軒のホテルが全旅連と当協会の両方に加盟しているケースもあります。NHKでは、どちらの業務委託を通しても両団体の契約率にカウントしていくとしています。

今後は、実態に即したBBC方式の要望も

――今後の協会としての取組みは。
清水 前述のように、協会として受信契約を強要するということではありません。あくまで経営者の判断に委ね、契約しないと協会から除名されるといったことはありません。ただ、協会としては、この業務委託契約の内容説明がまだ不足していますので、今後、告知に力を注いでいきます。

――現状の受信料および事業所割引は、妥当なのでしょうか。
宮原 妥当か否かの判断は難しい……。ただ、事業者としてみれば、事業所割引よりもイギリスのBBC方式(15台で1契約、以降、5台ごとに1契約)のほうが現実に即していると思います。しかし、NHKは「現状では、BBC方式は大幅な減収になるから難しい」という回答をしています。
清水 レジャー・ラブホテルのような小規模店舗ほどBBC方式のメリットは大きい。BBC方式にして支払率が高まれば、現状で試算するほどの大幅減収にはならないとも思うのですが……。
柳川 事業者にとって受信料は極めて大きい負担です。全旅連等の他団体もBBC方式をNHKや行政に要望しています。今回、当協会は、業務委託による正会員の受信料の負担軽減が実現できた。次の段階で、他団体とともにBBC方式等を要望していく。それが協会の役割だと思います。放送法自体も時代にそぐわなくなっており改正が必要でしょう。ただ、法の改正には時間がかかる……。
宮原 ホテルごとに視聴率も出せるし、技術的にスクランブル放送も可能な時代です。今後、視聴の実態にあった受信料を要望していくことも必要だと考えています。
清水 今回、業務委託による受信料の負担軽減を実現できましたが、協会としては、業界唯一の全国組織として、今後もさらに会員メリットにつながる活動を進めていきます。

一般社団法人日本自動車旅行ホテル協会HP