[特別インタビュー] 全旅連に聞く― NHK受信料問題の現状と 業界の要望

全国旅館ホテル生活衛生同業者組合連合会 理事 清澤正人 

 昨年7月、NHKはビジネスホテルチェーンの事業者3社を相手に受信料の支払いを求める訴訟を起こした。支払額の合計は約7億3,600万円。1社は調停で和解したものの7月中旬時点で2社は係争中だ。
 この訴訟以降、レジャーホテル分野でも、それまでの“集金人との交渉”により決定した受信料ではなく、事業所割引(1台通常料金+2台目以降50%×客室数)による支払いを求められるようになってきた。この事業所割引方式ではなく英国のBBC方式(15台で1契約、以降5台ごとに1契約)を要望する全国旅館ホテル生活衛生同業者組合連合会(1万6,000事業所加盟。以下、全旅連)に、これまでの折衝の経緯等を聞いた。

NHK視聴の実態を考慮し英国BBC方式への変更を要望

―旅館・ホテルにおけるNHK受信料問題の経緯からお聞かせ下さい。
清澤 この問題の発端は数年前。NHKに会計監査院が入ったところ、あるビジネスホテルチェーンが客室数の5%分の受信料しか支払っていないことが発覚し、国会で問題になった。そして、2009年にNHKは事業所割引制度を制定し、1台は通常料金、2台目以降はその50%で台数分、という計算方式の受信料徴収がはじまったのです。
 このときに、全旅連を含め全国の旅館・ホテル関連5団体(現在4団体)は、協同で英国の国営放送BBCの方式をNHKに提案しましたが、受け入れられなかったという経緯があります。

―事業所割引の計算の根拠とは。
清澤 これまで明確な説明はされていません。

―BBC方式を受け入れない理由は。
清澤 BBC方式にすると事業所からの受信料徴収額が大幅に減少してしまうので受け入れられない、という説明を受けています。

―その後の全旅連の取組みは。
清澤 事業所割引制度に合わせ、NHKと受信料徴収の業務委託契約を結び、47都道府県の組合を通して契約するとある程度の割引がなされるようにはなっています。しかし、事業所割引の受信料はBBC方式に比べ負担がはるかに大きい。ですから、全旅連および他4団体では、その後も、毎年、NHKに文書で要望書を提出。国会議員の観光産業振興議員連盟の会合時には、その都度、BBC方式への変更の要望を述べ続けています。

―組合員の意見や反応は。
清澤 地方の温泉旅館等の組合員からは、客室の稼動率自体が50%に満たないうえNHKの視聴率も低く事業所割引は実態にそぐわないといった意見もあります。さらに、家庭でも受信料を支払っているわけだから宿泊施設でも支払うことは二重払いになるのではないか。一般家庭は複数台のテレビがあっても1契約、事業所が台数分というのは納得できない。それまでの集金人との交渉により決定した受信料の契約はどうなるのか。これに関してはNHKは集金人に独自の交渉をする指導はしたことがないと言っていますが……。ともかく、厳しい市場環境下における中小規模の旅館・ホテルにとって、受信料の大幅な負担増加は大きな問題です。全旅連は、旅館・ホテル事業者の組織であり、コンプライアンスから外れない限り、組合員の要望を尊重し対応していくスタンスですから、今後も、BBC方式への変更の要望を続けていきます。

―NHK受信料は、放送法第64条に規定されている。法改正の要望は。
清澤 組合員からは、放送法でNHKの受信料制度が制定された1950年とは時代が違い、現在ならチャンネルごとの視聴率も出せるし、視聴の実態に沿って受信料を定める放送法の改正を求める声もあります。しかし法の改正は難しい。まずはBBC方式の要望を実現して、その後に法の改正を求めていきたい考えです。

―今後の見通しは。
清澤 現在、係争中のビジネスホテルチェーンの判決がどう出るか、今後に影響すると思われますが、観光議連にはBBC方式を支持する議員も数多くおります。今後も、国会議員、総務庁、NHKに対して、BBC方式への変更要望の働きかけを続けていきます。

(季刊『LH-NEXT』vol.17掲載)