NEXT世代インタビュー1

現場業務と同時にお客様満足を追求

――レジャーホテル事業に携わってどのくらいですか。
小関 防水工事会社を経て、4年前から実家のホテルの仕事に就きました。当社のホテルは、祖父が30年ほど前に創業し、現在の代表取締役の父が後を継いで10年ほど前に全面改装し現在の名称に。私は当初2年ほど現場業務に携わり、現在は取締役の肩書で父と一緒に経営、運営全般をみています。
鈴木 リゾート会社の営業職を経て、7年前に実家のホテルに入りました。当社も祖父母の代から旅館業で、現在のホテルは20年ほど前に開業したものです。父は私が20歳のときに、母も2年前に他界し、現在は兄が代表取締役で私が専務取締役。2軒のホテルをそれぞれが担当する形でみています。

――現在の仕事内容は。
鈴木 現場ではマネージャーという立場。売上管理から修繕・メンテナンス、スタッフが足りないときはルームメイクもするし、現場に貼り付きですね。兄とは、担当店舗を分けていますが、日々の報告はしあっています。
小関 最近とくに重視しているのが、お客様アンケートのチェックです。そこにクレームや不備があったら、当日のうちに解決しようと。スピードが重要だと思っています。また、飲食に力を注いでいるのですが、スーパーへの毎日の食材買出しも私の仕事です。

――父親と一緒に仕事というのは……。
小関 何か決めるようなときは、父も私に相談はするのですが、ほぼ決定事項ということが多い。年代も育った環境も違うから考え方も違う。けっこうよくぶつかっていますよ。ただ、一緒に働くまで父とはあまり会話がなかった。いまはコミュニケーションがとれるようになり、家族関係としてもよくなったと思っています。

――業界全体が厳しい市場環境ですが。
鈴木 この5年ほどで、急激に市場環境が悪化してきたというのが実感です。当社ホテルの立地するエリアは、現在21軒が営業しており、供給過剰の観が否めません。エリアの集客数が減少するなか値下げも進む……デフレスパイラルです。とくに、今年は厳しい状況、昨年比で2ケタ台のマイナスです。これは、昨年初めにエリア内の5軒が閉鎖したのですが、昨年末までにそのうちの4軒が経営交代して復活した、ということも大きく影響しています。
小関 当初は、売上げなどはあまり気にしていなかった。「今日は忙しかった」とか「暇だった」といった感覚でした。当然ながら1年、2年と経つうちに、売上低下にどう対処すべきか真剣に考えるようになった。昨夏、コストはあまりかけなかったのですがリニューアルを実施しました。ハード面はテレビの入替えとクロス張替え程度。同時に、お客様にとってより魅力のあるポイントの使い方ができるようにポイントシステムなども見直しました。その効果が現れて、昨年末くらいから売上げは回復の傾向をみせています。
鈴木 現在の市場環境で売上げアップは素晴らしいですね。当社ホテルも、リフレッシュは適時行なってきましたが、周辺ホテルの値下げに対して当社も値下げせざるを得ず、客単価も低下。サービスコストはあまりかけられない。しかし、お客様には喜んでほしい。このバランスをどうとるか、難しいところです。

先輩経営者から学び自分の想いを形に

――レジャーホテルという事業を、どのようにみていますか。
鈴木 非常に面白い、魅力的な事業です。いい意味でのサブカルチャーだと思うのです。さらに、自分のアイデアやアクションが、お客様に明確に伝わり、売上げにも反映する。経営の面白さが実感できる事業ですね。
小関 お客様に共感されたときが、一番、嬉しい。ホームページの掲示板で、お褒めの言葉をいただいたりすると本当に嬉しいですよ。

――「1歳の子供を連れて行きたいけど大丈夫?」という掲示板への書込みに、「子供布団を用意しますけど、デザイン良くなくても我慢してください」と回答されていましたね。
鈴木 ネットを使って、自分の言葉でお客様と会話ができる、というのはいいですね。
小関 お客様とのやりとりもスピードが大事だと思っています。さらに、リピーターも大切ですが、新規客も獲得しないと将来につながらない。ネットによる外部への情報発信は重要だと思っています。

――規制強化が進むなか、コンプライアンスについてはどうお考えですか。
鈴木 当社ホテルは4号営業で、規制も比較的緩やかな地域です。しかし、業界が社会的に認知されるためにも、コンプライアンス経営は重要だと思っています。
小関 マスコミの“偽装ラブホテル”という呼び方は嫌ですね。というより、心外です。確かに、違法なホテルもあるようですが、まじめにやっているところが多いわけですから。
鈴木 レジャーホテルは、確実に社会的に需要のある業態だと思います。ただ、今後どのような方向に向かっていくのか、慎重に考えていかなければならない時期にあると思います。
小関 ラグジュアリーホテルという方向は確実にあると思います。地域は限られるでしょうが、実際に高料金でもハード・サービスのレベルが圧倒的に高いホテルは、お客様が入っていますからね。
鈴木 基本は設備産業で大きな初期投資がかかる事業。それに加えて、現在では、ソフトとくにヒューマンサービスのレベルを高めることが必要になってきていると思います。
小関 長期的なスパンで、投資を回収する戦略が必要……。
鈴木 同時に、老朽化への対応として、適時、リフレッシュも行なわなければならない。清掃を徹底しても、お客様から見ると、古い=汚い、というイメージをもたれてしまいますから。
小関 実際に多くのホテルを使わせてもらっていますが、例えばクロスが剥がれかけていたりすると、このシーツも本当にきれいなのかなって、思ってしまいます。ただ、昨年、家族旅行をしたときに、ビジネスホテルとレジャーホテルに続けて泊まったのです。レジャーホテルのほうが、断然、安くて、快適だった。レジャーホテルのよさを再確認しました。
鈴木 私も、北海道から関西まで、いろいろなホテルを実際に利用しました。同時に、先輩経営者の方々と知り合えて、経営、運営に関するさまざまな話を聞くことができた。これは、本当に勉強になっています。
小関 先輩経営者からはたくさんのことを学ばせていただいています。ただ、同世代の経営者がリニューアルすると「ぜひ成功してほしい」と思うと同時に、正直なところ嫉妬もします。自分もやりたい、と。

――今後、どのようなホテルづくりをしていこうと思っていますか。
小関 多店舗展開という気持ちはあまりありません。それよりも、自分の中でこんなホテルをつくりたいという考えがまとまってきたら、その想いを形にしたいですね。現時点では、魅力的なハードとサービスでこの料金なら安いと思われるような、お客様に共感されるホテル、という漠然としたイメージですが……。
鈴木 カップルのお客様にとって、かけがえのない素敵な時間を過ごしていただけるホテル、それがレジャーホテルの存在意義だと思うし、そういうホテルづくりをしていくことが、自分自身のやりがいにもなると思っています。

――お二方の今後のホテルづくりに期待しています。

PROFILE

鈴木 和馬(すずき・かずま) ㈲シンワ 専務取締役 
1978年生まれ・32歳。レジャーホテル歴7年。
群馬・吉岡で「ホテル花やかた」「ホテル リヴィエラ」経営
小関 乃(おぜき・だい) ㈲ニッカ商会 取締役
1984年生まれ・25歳。レジャーホテル歴4年。
神奈川・伊勢原で「ホテル トゥールダルジャン銀の塔」経営
掲載 LH-NEXT vol.4(2010年4月30日発刊)